○金沢市スポーツ文化推進条例

平成30年3月26日

条例第2号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 スポーツ文化の推進に関する基本的な施策等(第8条―第15条)

第3章 雑則(第16条)

附則

スポーツは、健康や体力の保持増進、心身の健全な発達のみならず、人々に夢や希望、感動を与え、交流の促進や連帯意識の醸成等に寄与するものであり、市民生活の向上や地域社会の健全な発展に大きな役割を果たしている。

金沢のまちの個性は、固有の歴史伝統に培われた学術・文化や新しい価値を付加し続けてきた文化的土壌にあり、スポーツについても、運動能力の向上や健康増進に資する「するスポーツ」としてのみならず、楽しむための「るスポーツ」や、ボランティア等の「支えるスポーツ」、地域の人々が一体化する「応援するスポーツ」、身近な人々との会話が生まれる「語るスポーツ」など、地域の活力や一体感を醸成する文化的資源の一つとして活用されてきた。

よって、金沢の文化に更に厚みを持たせ、発展させていくためには、新たな価値としての「スポーツ文化」を推進し、後代に引き継いでいくことが重要である。

ここに、私たちは、「スポーツで人とまちを元気にする」ことに積極的に取り組み、金沢を将来にわたり活力と魅力のあるまちとしていくため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、スポーツ文化の推進について、基本理念を定め、並びに市、市民、事業者及びスポーツ関係団体の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項等を定めることにより、スポーツ文化に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって健康で明るく豊かな市民生活の形成や本市の活力と魅力あふれる文化のまちづくりに寄与することを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) スポーツ文化 スポーツを行うことはもとより、観ること、支えること、応援すること、語り合うことなどが日常的に行われ、これらが人々の生活の中に溶け込むとともに、その状態が風土として根付き、受け継がれていくものをいう。

(2) スポーツ関係団体 市内においてスポーツの推進のための活動を行うことを主たる目的とする団体その他スポーツ文化の推進に資する活動を行う団体をいう。

(基本理念)

第3条 スポーツ文化の推進は、スポーツを行うことのみならず多様なものであるとの基本的認識の下に、市民の自主性を十分に尊重しつつ、それぞれの興味、関心、適性等に応じて多様な形態でスポーツに親しむ社会的気運を醸成しながら、行われなければならない。

2 スポーツ文化の推進は、人々の交流を促進し、地域のきずなづくりや活性化を図るとともに、市民が誇りと愛着を持つことのできる活力と魅力あふれる地域社会の実現に資することを旨として、行われなければならない。

3 スポーツ文化の推進は、市、市民、事業者及びスポーツ関係団体がそれぞれの役割を認識し、これらの者の相互の理解と連携の下に、協働して行われなければならない。

(市の役割)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、スポーツ文化の推進に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、基本理念にのっとり、前項の規定により策定する施策に市民、事業者及びスポーツ関係団体の意見を十分に反映させるよう努めるとともに、当該施策の実施に当たっては、これらの者の理解と協力を得るよう努めなければならない。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、スポーツ文化についての理解を深めるとともに、その担い手として、興味、関心、適性等に応じてスポーツ文化の推進に自主的に取り組むよう努めるものとする。

2 市民は、基本理念にのっとり、本市が実施するスポーツ文化の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、自らが地域社会の一員であることを認識し、スポーツ文化についての理解を深めるとともに、従業員がスポーツを行い、支え、又は応援する機会の提供、スポーツ選手やスポーツチームへの支援などスポーツ文化の推進に積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 事業者は、基本理念にのっとり、本市が実施するスポーツ文化の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(スポーツ関係団体の役割)

第7条 スポーツ関係団体は、基本理念にのっとり、市民がスポーツに親しむ機会の提供、スポーツの普及及びスポーツに関する競技水準(以下「競技水準」という。)の向上を図るための活動の実施などスポーツ文化の推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。

2 スポーツ関係団体は、基本理念にのっとり、本市が実施するスポーツ文化の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

3 ホームタウンチーム(市内又はその周辺に主な活動の拠点を置き競技活動を行うスポーツチームで、全国的な組織に所属するものとして市長が認めるものをいう。以下同じ。)は、基本理念にのっとり、自らの競技活動が地域社会と密接な関係を有するものであることを認識し、その競技活動の実施等を通じて地域の活力や一体感の醸成に寄与するなどスポーツ文化の推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。

第2章 スポーツ文化の推進に関する基本的な施策等

(推進計画)

第8条 市長は、スポーツ文化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画を定めるものとする。

(スポーツに親しむ機会の提供等)

第9条 市は、全ての市民が生涯にわたり年齢、性別等を問わずスポーツに親しむことができるよう、事業者及びスポーツ関係団体と連携し、その機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、前項に定めるもののほか、子どもがスポーツに親しみ、心身の健全な発達や体力の向上を図ることができるよう、子どもの心身の発達段階に応じたスポーツに親しむ機会の提供、指導者の確保及び養成その他必要な施策を講ずるものとする。

3 市は、第1項に定めるもののほか、障害者がスポーツに親しみ、及び障害者のスポーツに対する市民の理解を深めることができるよう、障害の種類、程度及び特性に応じたスポーツに親しむ機会の提供、障害者のスポーツについての普及啓発その他必要な施策を講ずるものとする。

(スポーツを通じた地域の活性化)

第10条 市は、スポーツを通じて市民相互の交流を促進し、地域コミュニティの活性化を図るため、地域におけるスポーツ行事への支援、ボランティア等の人材の育成その他必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、スポーツを通じて地域の活力や一体感の醸成を図るため、市民及びサポーター等(サッカー、バスケットボール、野球等のスポーツチームを応援し、又は支援する者をいう。)によるホームタウンチームの応援又は支援についての啓発、ホームタウンチームに所属する選手と市民との交流の機会の創出その他必要な施策を講ずるものとする。

3 市は、スポーツの競技会、大会、合宿等(以下「競技会等」という。)への参加又は観戦のため国内外から来訪する者が市内及び周辺の観光地を巡り、又は市民と交流することによる地域の活性化を図るため、事業者及びスポーツ関係団体と連携し、競技会等の開催又は誘致その他必要な施策を講ずるものとする。

(スポーツ選手の育成等)

第11条 市は、本市で育ったスポーツ選手の活躍により市民がスポーツへの関心を高め、地域の活力や一体感の醸成を図ることができるよう、事業者、スポーツ関係団体並びにスポーツ選手及び指導者と連携し、スポーツ選手の計画的な育成、指導者の確保及び養成その他競技水準の向上のために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、優秀なスポーツ選手及び指導者が生涯にわたりその有する能力を幅広く社会に生かすことができるよう、事業者及びスポーツ関係団体と連携し、社会の各分野で活躍することができる環境の整備その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(推進協議会)

第12条 市、事業者、スポーツ関係団体等は、前3条の施策の推進に関する協議会を組織し、必要に応じ、当該施策について協議し、推進するものとする。

(環境の整備等)

第13条 市は、市民がスポーツに親しむことができる場の充実を図るため、施設の機能の強化その他必要な環境の整備を行うものとする。

2 市は、市民のスポーツ文化に対する理解を深めるため、スポーツに関する有形又は無形の文化的所産で価値の高いものについて、情報、資料、記録等の収集、保存及び公開その他必要な取組を行うものとする。

(財政上の支援)

第14条 市長は、スポーツ文化に関する施策を推進するために必要があると認めるときは、予算の範囲内において、財政上の支援をすることができる。

(表彰)

第15条 市長は、スポーツの競技会で顕著な成果を収めた者及びスポーツ文化の推進に著しく貢献した者を表彰することができる。

第3章 雑則

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に策定されている本市のスポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画は、第8条の規定により策定された計画とみなす。

(金沢市スポーツ推進審議会条例の一部改正)

3 金沢市スポーツ推進審議会条例(平成23年条例第29号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう略〕

金沢市スポーツ文化推進条例

平成30年3月26日 条例第2号

(平成30年4月1日施行)