○金沢市こまちなみ保存条例

平成6年3月23日

条例第1号

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 こまちなみの保存

第1節 こまちなみ保存区域(第5条―第11条)

第2節 こまちなみ保存建造物(第12条―第14条)

第3章 援助及び買取り(第15条・第16条)

第4章 こまちなみ保存委員会(第17条・第18条)

第5章 雑則(第19条・第20条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、金沢の歴史的な遺産であるこまちなみを市民とともに保存育成し、これらのこまちなみと一体となった市民の生活環境を良好なものとすることにより、金沢の個性をさらに磨き高めることを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において「こまちなみ」とは、歴史的な価値を有する武家屋敷、町家、寺院その他の建造物又はこれらの様式を継承した建造物が集積し、歴史的な特色を残すまちなみをいう。

(市長の任務)

第3条 市長は、第1条の目的を達成するため、公共空間の整備、こまちなみの保存育成に関する計画の策定等の必要な施策を実施しなければならない。

2 市長は、前項の施策の実施に当たっては、市民、事業者、本市の歴史又は文化に関する専門的な知識を有する者等(以下「市民等」という。)の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。

3 市長は、必要があると認めるときは、国、他の地方公共団体等に対し、こまちなみの保存育成について協力を要請しなければならない。

(市民等の任務)

第4条 市民等は、こまちなみが市民共通の貴重な財産であることを認識し、相互に連携及び協力をして、これらのこまちなみを保存育成するよう努めなければならない。

2 市民等は、この条例の目的を達成するために行われる市長の施策に協力しなければならない。

第2章 こまちなみの保存

第1節 こまちなみの保存区域

(こまちなみ保存区域の指定)

第5条 市長は、こまちなみとして保存育成することが必要な区域をこまちなみ保存区域(以下「保存区域」という。)として指定することができる。

2 市長は、保存区域を指定しようとするときは、あらかじめ、当該区域の住民及び金沢市こまちなみ保存委員会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、保存区域を指定するときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。

(こまちなみ保存基準)

第6条 市長は、保存区域ごとに、こまちなみを保存育成するための基準として、こまちなみ保存基準(以下「保存基準」という。)を定めるものとする。

2 保存基準には、次に掲げる事項のうち、必要な事項について定めるものとする。

(1) 建築物その他の工作物の規模、位置、色彩、意匠及び形態

(2) 木竹の態様

(3) その他市長が必要があると認める事項

3 市長は、保存基準を定めるときは、その旨及びその基準を告示しなければならない。

4 前条第2項の規定は、保存基準を定める場合について準用する。

(行為の届出)

第7条 保存区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、その内容を市長に届け出なければならない。

(1) 建築物その他の工作物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

(2) 木竹の伐採

2 前項の規定により届け出なければならないとされる行為について、景観法(平成16年法律第110号)第16条第1項又は第2項の規定による届出があったときは、これをもって、前項の規定による届出があったものとみなす。

3 第1項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。

(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で市長が定めるもの

(2) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

(平21条例4・一部改正)

(助言、指導又は勧告)

第8条 市長は、前条第1項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が保存基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をしなければならない。

2 市長は、前項の規定による助言、指導又は勧告をする場合は、金沢市こまちなみ保存委員会の意見を聴くことができる。

3 前条第1項の規定による届出があった場合において、保存基準が定められていないときは、第1項中「保存基準に適合しない」とあるのは、「こまちなみの保存育成に重大な影響がある」と読み替えて、同項の規定を適用する。

(報告等)

第9条 前条第1項の規定による助言、指導又は勧告を受けた者は、当該助言、指導又は勧告によって講じた措置について、市長に報告しなければならない。

2 市長は前項の規定により報告を受けた場合は、必要に応じて実地調査をするものとする。

(協定の締結)

第10条 保存区域内に存する土地又は建造物の所有者又はこれらについて使用することができる権利を有する者は、その相互において当該保存区域の保存育成のための協定を締結することができる。

(協定の認定)

第11条 市長は、前条の協定で、その内容がこまちなみの保存育成に寄与すると認めるものをこまちなみ保存協定として認定することができる。

第2節 こまちなみ保存建造物

(こまちなみ保存建造物の登録)

第12条 市長は、保存区域内の建造物のうち、当該保存区域の保存育成にとって特に重要な建造物をこまちなみ保存建造物(以下「保存建造物」という。)として登録することができる。

2 市長は、保存建造物を登録しようとするときは、所有者その他の利害関係人(以下「所有者等」という。)の同意を得、かつ、金沢市こまちなみ保存委員会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、保存建造物を登録するときは、その名称その他規則で定める事項を告示するとともに、当該登録する旨を所有者等に通知するものとする。

(所有権の移転の届出)

第13条 保存建造物の所有者は、当該保存建造物について、所有権の移転をしようとするときは、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。

2 保存建造物の所有権の移転について、金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例(平成21年条例第4号)第37条第1項の規定による届出があったときは、これをもって、前項の規定による届出があったものとみなす。

(平21条例4・一部改正)

(保存契約)

第14条 市長は、保存建造物の保存について必要な事項を定めた契約を、保存建造物の所有者との間で締結することができる。

第3章 援助及び買取り

(援助)

第15条 市長は、こまちなみの保存育成を図るため必要があると認めるときは、保存区域内の建造物等の修繕、復元等に対して、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。

2 市長は、保存区域内の住民によるこまちなみの保存のための活動に対して、必要な支援をすることができる。

(買取り)

第16条 市長は、第14条の規定による契約を締結した保存建造物及びその敷地で、こまちなみの保存を図るため特に買い取る必要があると認めるものを、予算の範囲内において、買い取ることができる。

第4章 こまちなみ保存委員会

(金沢市こまちなみ保存委員会)

第17条 本市のこまちなみの保存育成を図るため、金沢市こまちなみ保存委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、この条例に規定する事項その他の事項について市長の諮問に応ずるほか、こまちなみの保存育成に必要な事項について市長に建議する。

第18条 委員会は、委員若干人で組織する。

2 委員は、まちなみの保存育成に関し優れた識見を有する者のうちから市長が委嘱する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員会に会長を置き、委員の互選によりこれを選任する。

5 会長は、会務を総理し、委員会を代表する。

6 会長に事故があるときは、あらかじめ会長が指名する委員が、その職務を代理する。

第5章 雑則

(適用除外)

第19条 この条例は、金沢市文化財保護条例(昭和48年条例第8号)第5条第1項の規定により金沢市指定文化財として指定されたもの及び金沢市伝統的建造物群保存地区保存条例(昭和52年条例第2号)に規定するものについては、適用しない。

(令4条例37・一部改正)

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成6年4月1日から施行する。

(平成21年3月24日条例第4号、金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例附則第10項による改正抄)

1 この条例は、規則で定める日から施行する。〔平成21年規則第57号で、平成21年10月1日から施行〕

(令和4年9月20日条例第37号、金沢市文化財保護条例の一部を改正する条例附則第2項による改正抄〕)

1 この条例は、令和4年10月1日から施行する。

金沢市こまちなみ保存条例

平成6年3月23日 条例第1号

(令和4年10月1日施行)

体系情報
第13類 都市整備/第2章 都市景観
沿革情報
平成6年3月23日 条例第1号
平成21年3月24日 条例第4号
令和4年9月20日 条例第37号