○金沢市における美しい眺望景観の形成に関する条例

平成31年3月25日

条例第4号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 美しい眺望景観の形成(第7条―第14条)

第3章 眺望景観形成協定(第15条・第16条)

第4章 支援(第17条)

第5章 雑則(第18条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市の起伏のある地形がもたらす恵まれた自然、歴史的な街並み、新たな都市空間などから形づくられ、周辺の景観その他の環境と調和した眺望景観(以下「美しい眺望景観」という。)の形成について、市、市民、事業者及び公共施設等管理者の責務を明らかにするとともに、美しい眺望景観の形成のための基本となる事項等を定めることにより、これらの者が一体となって、美しい眺望景観の形成を図り、もって本市の個性と魅力を磨き高めるとともに、市民共通の貴重な財産として後代に継承することを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 美しい眺望景観の形成 美しい眺望景観を保全し、又は創出することをいう。

(2) 眺望景観 特定の地点から眺めることができる区域の景観その他の環境のことをいう。

(3) 公共施設等管理者 道路、河川、用水、公園等の公共空間又は公共施設(以下「公共空間等」という。)を設置し、又は管理する者をいう。

(4) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。

(6) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。

(7) 屋外照明設備 金沢市における夜間景観の形成に関する条例(平成17年条例第58号)第2条第3号に規定する屋外照明設備をいう。

(市の責務)

第3条 市は、第1条の目的を達成するため、美しい眺望景観の形成を図るための計画の策定等の必要な施策を実施しなければならない。

2 市は、前項の施策の実施に当たっては、市民及び事業者(以下「市民等」という。)の意見が反映されるよう努めるとともに、美しい眺望景観の形成に関する市民等の意識の高揚を図る等の必要な措置を講じなければならない。

3 市は、第1項の施策の実施に当たっては、公共施設等管理者の意見が反映されるよう努めるとともに、その理解と協力を得るよう努めなければならない。

4 市は、必要があると認めるときは、国、他の地方公共団体等に対し、美しい眺望景観の形成について協力を要請しなければならない。

(市民の責務)

第4条 市民は、第1条の目的を達成するため、美しい眺望景観が市民共通の貴重な財産であることを認識し、相互に連携及び協力をして、美しい眺望景観の形成に自ら努めるとともに、本市が実施する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、第1条の目的を達成するため、美しい眺望景観が市民共通の貴重な財産であることを認識し、その事業活動を行うに当たっては、美しい眺望景観の形成に努めるとともに、本市が実施する施策に協力しなければならない。

(公共施設等管理者の責務)

第6条 公共施設等管理者は、第1条の目的を達成するため、公共空間等の整備が美しい眺望景観の形成に先導的な役割があることを認識し、美しい眺望景観の形成に配慮した当該整備に努めなければならない。

2 公共施設等管理者は、必要があると認めるときは、市及び市民等に対し、美しい眺望景観の形成について協力を要請することができる。

第2章 美しい眺望景観の形成

(眺望点の指定)

第7条 市長は、美しい眺望景観の形成を図るため、憩いとやすらぎをもたらす場所として多くの市民に親しまれ、かつ、次の各号のいずれかに該当する眺望景観を享受することができる地点を眺望点として指定することができる。

(1) 山並みへの眺め(河川及びこれに沿った街並み並びにこれらの背景にある山並み等によって一体的に構成される眺望景観をいう。)

(2) 見下ろしの眺め(台地、城跡等から一定の広がりをもった街並みを見下ろす眺望景観をいう。)

(3) 通りの眺め(通りの街並み及び通りの先の背景によって一体的に構成される眺望景観をいう。)

(4) 見晴らしの眺め(公園、緑地等から当該公園、緑地等及びこれらの背景にある自然の広がりを見渡す眺望景観をいう。)

2 市長は、前項の規定により眺望点を指定しようとするときは、あらかじめ金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例第46条の金沢市景観審議会(以下「景観審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

3 市長は、第1項の規定により眺望点を指定しようとするときは、金沢市屋外広告物等に関する条例(平成7年条例第58号)第36条第1項の金沢市屋外広告物審議会(以下「屋外広告物審議会」という。)の意見を聴くことができる。

4 市長は、第1項の規定により眺望点を指定するときは、その旨及びその地点を告示しなければならない。

5 第2項から前項までの規定は、眺望点の指定を解除し、又はその地点を変更する場合について準用する。

(眺望景観形成区域の指定)

第8条 市長は、眺望点からの美しい眺望景観の形成のために必要な区域を眺望景観形成区域(以下「形成区域」という。)として指定することができる。この場合において、形成区域は、眺望点からの見え方、距離等に応じて、近景形成区域及び中遠景形成区域又はそのいずれかの区域に指定するものとする。

2 前条第2項から第4項までの規定は、形成区域を指定する場合又はその指定を解除し、若しくはその区域を変更する場合について準用する。

(眺望景観形成基準)

第9条 市長は、前条第1項の規定により形成区域を指定したときは、形成区域ごとにおける美しい眺望景観の形成を図るための基準として、眺望景観形成基準(以下「形成基準」という。)を定めるものとする。

2 形成基準には、形成区域ごとに次に掲げる事項のうち、必要な事項について定めるものとする。

(1) 美しい眺望景観の形成に関する基本的な事項

(2) 建築物及び工作物(広告物及び広告物を掲出する物件(以下「広告物等」という。)に係るものを除く。以下「建築物等」という。)の規模、位置、色彩、意匠及び形態に関する事項

(3) 緑化に関する事項

(4) 広告物等の位置、形状、面積、色彩、意匠及び表示の方法に関する事項

(5) 屋外照明に関する事項

(6) 公共空間等に関する事項

(7) その他市長が必要があると認める事項

3 市長は、形成基準のうち前項第4号に掲げる事項について定めようとする場合又は当該事項に係る基準を廃止し、若しくは変更しようとする場合は、あらかじめ屋外広告物審議会の意見を聴かなければならない。

4 前項に定めるもののほか、第7条第2項から第4項までの規定は、形成基準を定める場合又はその基準を廃止し、若しくは変更する場合について準用する。

(行為の制限)

第10条 形成区域内において、次に掲げる行為をしようとする者の当該行為は、形成基準に適合するものでなければならない。ただし、航空法(昭和27年法律第231号)その他の法令又は条例の規定により義務付けられたものの実施に係る行為その他市長が特に認める行為については、この限りでない。

(1) 建築物等の新築、新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

(2) 木竹の伐採

(3) 広告物の表示、移転若しくはその内容の変更又は広告物を掲出する物件の設置、改造、移転、修繕若しくは色彩の変更

(4) 屋外照明設備の設置又は改良

(行為の届出等)

第11条 形成区域内において、前条各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめその内容を市長に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項のうち、規則で定める事項を変更しようとするときは、あらかじめその内容を市長に届け出なければならない。

3 前2項の規定にかかわらず、国の機関又は地方公共団体(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、これらの規定による届出をすることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、これらの規定による届出を要する行為をしようとするときは、あらかじめその旨を市長に通知しなければならない。

4 市長は、前項後段の規定による通知があった場合において、美しい眺望景観の形成のため必要があると認めるときは、その必要な限度において、当該国の機関等に対し、形成基準に適合するようとるべき措置について協議を求めることができる。

5 次に掲げる行為については、第1項第2項及び第3項後段の規定は、適用しない。

(1) 景観法(平成16年法律第110号)第16条第7項第1号及び第2号に掲げる行為

(2) 景観法施行令(平成16年政令第398号)第10条第3号及び第4号に掲げる行為

(3) 仮設の建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

(4) 他の法令又は条例の規定に基づき、許可若しくは認可を受け、又は届出若しくは協議をして行う行為のうち、美しい眺望景観の形成のための措置が講じられるものとして規則で定めるもの

(5) 規則で定める工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

(6) 木竹の伐採で規則で定めるもの

(7) 屋外照明設備の設置又は改良で規則で定めるもの

(8) 前条各号に掲げる行為で規則で定めるもの

(助言、指導又は勧告)

第12条 市長は、形成基準に適合しない行為をしようとする者又はした者に対し、当該行為に関し形成基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をしなければならない。

2 市長は、前項の規定による助言、指導又は勧告をする場合においては、景観審議会又は金沢市屋外広告物等に関する条例第37条の2第1項の金沢市屋外広告物審査会の意見を聴くことができる。

(報告等)

第13条 前条第1項の規定による助言、指導又は勧告を受けた者は、当該助言、指導又は勧告によって講じた措置について、市長に報告しなければならない。

2 市長は、前項の規定により報告を受けた場合は、必要に応じて実地調査をするものとする。

(美しい眺望景観の形成に重大な影響を及ぼすおそれのある行為)

第14条 市長は、形成区域内において、次に掲げる行為をしようとする者に対し、必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をすることができる。

(1) 形成基準に定められていない事項に係る行為で、市長が美しい眺望景観の形成に重大な影響を及ぼすおそれがあると認めるもの

(2) その他市長が美しい眺望景観の形成に重大な影響を及ぼすおそれがあると認める行為

2 第12条第2項の規定は、前項の規定による助言、指導又は勧告をする場合について準用する。

第3章 眺望景観形成協定

(協定の締結)

第15条 形成区域内に存する土地、建築物等又は広告物等の所有者又はこれらについて使用することができる権利を有する者は、その相互において美しい眺望景観の形成を図るための協定を締結することができる。

(眺望景観形成協定の認定)

第16条 市長は、前条の協定で、その内容が美しい眺望景観の形成に寄与すると認めるものを眺望景観形成協定として認定することができる。

第4章 支援

第17条 市長は、形成区域内における美しい眺望景観の形成を図るため必要があると認めるときは、技術的な支援をし、又は予算の範囲内において、財政上の支援をすることができる。

2 市長は、市民等による美しい眺望景観の形成のための活動に対して、必要な支援をすることができる。

第5章 雑則

(委任)

第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

1 この条例は、規則で定める日から施行する。ただし、附則第3項の規定は、公布の日から施行する。〔令和元年規則第6号で、令和元年10月1日から施行〕

〔次のよう略〕

3 第7条第1項の規定による眺望点の指定、第8条第1項の規定による形成区域の指定その他この条例を施行するために必要な準備行為は、この条例の施行前においても行うことができる。

金沢市における美しい眺望景観の形成に関する条例

平成31年3月25日 条例第4号

(令和元年10月1日施行)