○犀川及び浅野川における美しい川筋景観の保全に関する条例
平成29年3月27日
条例第2号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 美しい川筋景観の保全(第7条―第14条)
第3章 川筋景観保全協定(第15条・第16条)
第4章 援助(第17条)
第5章 雑則(第18条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、金沢の歴史と文化を育みながら、市民の生活に潤いをもたらす犀川及び浅野川における周辺の景観その他の環境と調和した川筋景観(以下「美しい川筋景観」という。)の保全について、市、河川管理者等、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、美しい川筋景観の保全のための基本となる事項等を定めることにより、水と緑に彩られた風情と趣のある川筋景観の保全を図り、もって金沢の個性と魅力を磨き高めるとともに、貴重な財産として後代に継承することを目的とする。
(1) 犀川 河川法(昭和39年法律第167号)第5条第1項の規定により2級河川犀川水系犀川に指定された河川をいう。
(2) 浅野川 河川法第5条第1項の規定により2級河川大野川水系浅野川に指定された河川をいう。
(3) 川筋景観 河川及びこれに沿った区域の景観その他の環境のことをいう。
(4) 河川管理者等 河川法第7条(同法第100条第1項において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者、道路法(昭和27年法律第180号)第18条第1項に規定する道路管理者、道路交通法(昭和35年法律第105号)第4条第1項に規定する公安委員会及び都市公園法(昭和31年法律第79号)第5条第1項に規定する公園管理者をいう。
(5) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(6) 工作物 金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例(平成21年条例第4号)第2条第3号に規定する工作物をいう。
(7) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。
(市の責務)
第3条 市は、第1条の目的を達成するため、美しい川筋景観の保全を図るための計画の策定等の必要な施策を実施しなければならない。
2 市は、前項の施策の実施に当たっては、河川管理者等の意見が反映されるよう努めるとともに、その理解と協力を得るよう努めなければならない。
3 市は、第1項の施策の実施に当たっては、市民及び事業者(以下「市民等」という。)の意見が反映されるよう努めるとともに、美しい川筋景観の保全に関する市民等の意識の高揚を図る等の必要な措置を講じなければならない。
4 市は、必要があると認めるときは、国、他の地方公共団体等に対し、美しい川筋景観の保全について協力を要請しなければならない。
(河川管理者等の責務)
第4条 河川管理者等は、第1条の目的を達成するため、河川、橋りょう等の整備が美しい川筋景観の保全に先導的な役割があることを認識し、美しい川筋景観の保全に配慮した当該整備に努めなければならない。
2 河川管理者等は、必要があると認めるときは、市及び市民等に対し、美しい川筋景観の保全について協力を要請することができる。
(市民の責務)
第5条 市民は、第1条の目的を達成するため、相互に連携及び協力をして、美しい川筋景観の保全に自ら努めるとともに、本市が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、第1条の目的を達成するため、その事業活動を行うに当たっては、美しい川筋景観の保全に努めるとともに、本市が実施する施策に協力しなければならない。
第2章 美しい川筋景観の保全
(川筋景観保全区域の指定)
第7条 市長は、美しい川筋景観の保全のために必要な区域を川筋景観保全区域(以下「保全区域」という。)として指定することができる。
2 市長は、前項の規定により保全区域を指定しようとするときは、あらかじめ河川管理者等と協議しなければならない。
3 市長は、第1項の規定により保全区域を指定しようとするときは、あらかじめ金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例第46条の金沢市景観審議会(第11条第3項において「景観審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
4 市長は、第1項の規定により保全区域を指定しようとするときは、金沢市屋外広告物等に関する条例(平成7年条例第58号)第36条第1項の金沢市屋外広告物審議会(次条第4項において「屋外広告物審議会」という。)の意見を聴くことができる。
5 市長は、第1項の規定により保全区域を指定するときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
(川筋景観保全基準)
第8条 市長は、前条第1項の規定により保全区域を指定したときは、保全区域ごとにおける美しい川筋景観の保全を図るための基準として、川筋景観保全基準(以下「保全基準」という。)を定めるものとする。
2 保全基準には、保全区域ごとに次に掲げる事項のうち、必要な事項について定めるものとする。
(1) 美しい川筋景観の保全に関する基本的な事項
(2) 建築物及び工作物(広告物及び広告物を掲出する物件(以下「広告物等」という。)に係るものを除く。以下「建築物等」という。)の規模、位置、色彩、意匠及び形態に関する事項
(3) 宅地その他の土地の形質に関する事項
(4) 緑化に関する事項
(5) 広告物等の位置、形状、面積、色彩、意匠及び表示の方法に関する事項
(6) その他市長が必要があると認める事項
4 市長は、保全基準のうち第2項第5号に掲げる事項について定めようとする場合又は当該事項に係る基準を廃止し、若しくは変更しようとする場合は、あらかじめ屋外広告物審議会の意見を聴かなければならない。
(行為の届出)
第9条 保全区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめその内容を市長に届け出なければならない。
(1) 建築物等の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(2) 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取その他の土地の形質の変更
(3) 木竹の伐採
(4) 物件の堆積
(5) 広告物の表示、移転若しくはその内容の変更又は広告物を掲出する物件の設置、改造、移転、修繕若しくは色彩の変更
2 前項の規定により届け出なければならないとされる行為について、景観法(平成16年法律第110号)第16条第1項若しくは第2項の規定による届出又は金沢市伝統的建造物群保存地区保存条例(昭和52年条例第2号)第4条第1項の規定による許可の申請があったときは、これをもって、前項の規定による届出があったものとみなす。
4 第1項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で市長が定めるもの
(2) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
2 前項の規定により通知しなければならないとされる行為について、景観法第16条第5項後段の規定による通知又は金沢市伝統的建造物群保存地区保存条例第6条後段の規定による協議があったときは、これをもって、前項の規定による通知があったものとみなす。
(助言、指導又は勧告)
第11条 市長は、第9条第1項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が保全基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、美しい川筋景観の保全に必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をしなければならない。
2 市長は、第9条第1項の規定による届出をしない者又は虚偽の届出をした者に対し、期限を定め、必要な措置を講ずるよう指導又は勧告をすることができる。
3 市長は、前2項の規定による助言、指導又は勧告をする場合においては、景観審議会又は金沢市屋外広告物等に関する条例第37条の2第1項の金沢市屋外広告物審査会の意見を聴くことができる。
第12条 市長は、保全区域内の建築物等又は広告物等が当該保全区域における保全基準に適合せず、川筋景観を著しく阻害していると認めるときは、当該建築物等又は広告物等の所有者又は権原に基づく占有者若しくは管理者(次項において「所有者等」という。)に対し、当該保全区域における保全基準に基づき、必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をすることができる。
2 市長は、保全区域内の空地が当該保全区域における川筋景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地の所有者等に対し、美しい川筋景観の保全に配慮した適正な空地の管理又は利用を図るよう助言、指導又は勧告をすることができる。
3 市長は、前2項の規定により報告を受けた場合は、必要に応じて実地調査をするものとする。
(保全区域以外の区域内における行為に対する助言、指導又は勧告)
第14条 市長は、犀川及び浅野川並びにこれらに沿った区域のうち、保全区域以外の区域内において、美しい川筋景観の保全に重大な影響を及ぼすおそれがあると認める行為を行う者に対し、必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をすることができる。
第3章 川筋景観保全協定
(協定の締結)
第15条 犀川又は浅野川に沿った区域内に存する土地、建築物等又は広告物等の所有者又はこれらについて使用することができる権利を有する者は、その相互において美しい川筋景観の保全を図るための協定を締結することができる。
(川筋景観保全協定の認定)
第16条 市長は、前条の協定で、その内容が美しい川筋景観の保全に寄与すると認めるものを川筋景観保全協定として認定することができる。
第4章 援助
第17条 市長は、保全区域内における美しい川筋景観の保全を図るため必要があると認めるときは、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。
2 市長は、市民等による美しい川筋景観の保全のための活動に対して、必要な支援をすることができる。
第5章 雑則
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成29年4月1日から施行する。