○金沢市における文化の人づくりの推進に関する条例

平成28年3月24日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 文化の人づくりの推進に関する基本的な施策(第7条―第14条)

第3章 雑則(第15条)

附則

私たちのまち金沢では、いにしえよりの人々の営みに、藩政期に培われた伝統、学術及び文化が重ね合わさり、固有の特色ある文化が形成されてきた。藩政期に花開いた金沢の文化は、先人たちが大切に守り育んできた貴い努力により、今日に至るまで連綿と受け継がれ、市民の日々の暮らしの中に息づいている。金沢のまちの個性と魅力は、歴史を礎として、受け継がれてきた学術や文化を磨き高めると同時に、常に新たなものにも目を向け、革新の息吹を取り込み、新たな価値を創造してきた文化的土壌にある。伝統と革新とが相互に作用することで、豊かで潤いのある固有の文化を生み出し、まちの品格を高めてきたのである。

このように、金沢の文化は、長い歴史を通じて培われた世界に誇るべき資産であり、市民の個性豊かで質の高い暮らしを支えると同時に、郷土愛に満ちた人間性を育む力を生み出し、まちに活力を与えている。文化の力の源泉は、ほかならぬ人であり、金沢のまちはこれまでも人を育むことにより、その個性をつくりあげてきた。金沢が魅力ある文化都市としてさらなる発展を遂げていくためには、その源泉を守り続けるとともに、新たな泉を見いだし育てていかなければならない。そのためには、世界を舞台に活躍できる人材、専門的な技術を有する人材、そして金沢の未来を託す子どもたちなど、次代の文化を担う人づくりを今まで以上に推し進めていくことが、極めて重要である。

ここに、私たちは、文化都市として伝統文化の継承発展と新たな文化の創造を担う人づくりに積極的に取り組むことにより、金沢を将来にわたり希望と活力に満ちた魅力あふれるまちとするため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市の伝統文化の継承発展及び新たな文化の創造を担う人づくり(以下「文化の人づくり」という。)の推進について、基本理念を定め、並びに市の責務並びに市民等及び高等教育機関の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項等を定めることにより、文化の人づくりの推進を図り、もって希望と活力に満ちた社会の実現と本市の持続的な発展に寄与することを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 文化 金沢の先人たちの暮らしの中から生み出され、受け継がれ、市民の生活に根ざした伝統文化、市民等が主体となって行う文化活動並びに有形及び無形の文化財並びにその保存技術(以下「文化財等」という。)の保存及び活用に関わることをいう。

(2) 市民等 市民及び文化活動を行う団体をいう。

(3) 高等教育機関 大学、高等専門学校、専門課程を置く専修学校その他の高等教育を行う機関をいう。

(基本理念)

第3条 文化の人づくりの推進は、市民等が文化の担い手であるとの認識の下に、その自主性及び創造性を十分に尊重しながら、行われなければならない。

2 文化の人づくりの推進は、文化が市民の豊かな心をかん養し、地域の活力を高める重要な社会的財産であるとの認識の下に、文化の裾野の拡大を図るために行われなければならない。

3 文化の人づくりの推進は、金沢の先人たちが育んできた歴史、風土等を反映した特色ある文化を、将来の世代にわたって引き継ぐとともに、発展させていくために行われなければならない。

4 文化の人づくりの推進は、文化には新たな息吹を取り込むことが重要であるとの認識の下に、国内外の多様な交流を通じて、将来にわたり文化を発展させていくために行われなければならない。

5 文化の人づくりの推進は、市の責務並びに市民等及び高等教育機関の役割をそれぞれが担うとともに、相互の理解と連携の下に、協働して行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化の人づくりの推進を図るために必要な施策を策定し、及び実施しなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、前項の規定により策定する施策に市民等及び高等教育機関の意見を十分に反映させるよう努めるとともに、その施策の実施に当たっては、市民等及び高等教育機関の理解と協力を得るよう努めなければならない。

(市民等の役割)

第5条 市民等は、文化を創造し、享受するものとして、基本理念にのっとり、固有の特色ある文化が自主的かつ創造的な活動を通じて将来の世代に引き継がれるために、文化の人づくりを担う役割を果たすよう努めるとともに、本市が実施する文化の人づくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(高等教育機関の役割)

第6条 高等教育機関は、基本理念にのっとり、その有する専門知識、人材、設備等を生かした調査研究の充実、創造性豊かな人材の育成等を通じて、文化の人づくりの推進に貢献する役割を果たすよう努めるとともに、本市が実施する文化の人づくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第2章 文化の人づくりの推進に関する基本的な施策

(文化の継承発展等の担い手の育成)

第7条 市は、文化の継承発展及び創造の担い手を育成するため、研修等の支援、国内外の多様な交流の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

(将来の文化の担い手の育成)

第8条 市は、将来の文化の担い手となる子どもの文化に対する知識並びに豊かな創造性及び感性を高めるため、文化に関する学習及び体験の場の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

(文化財等の保存及び活用の担い手の育成)

第9条 市は、文化財等の保存及び活用の担い手を育成するため、必要な知識、技術及び技能の習得の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(市民等の文化意識の醸成)

第10条 市は、市民等の文化に対する関心及び理解を深め、意識の醸成を図るため、その普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(環境の整備)

第11条 市は、市民等の文化活動の場の充実を図るため、施設の機能の強化その他の必要な環境の整備等を行うものとする。

2 市は、市民等の文化に関する調査研究、研修等の場の充実を図るため、施設の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

(多様な文化に触れる機会の充実)

第12条 市は、広く市民等が自主的に多様な文化を鑑賞し、又は文化活動に参加する機会の充実を図り、これらに関する情報の収集及び提供その他の必要な環境の整備を行うものとする。

2 市は、市民等に対し、多様な文化に触れる機会を提供するため、文化に関する施策間の連携その他の必要な施策を講ずるものとする。

(市民等及び高等教育機関との協働)

第13条 市は、第7条から前条までに定める施策の実施に当たっては、市民等及び高等教育機関との理解と連携の下、協働に努めるものとする。

(援助)

第14条 市長は、文化の人づくりの推進を図るため必要があると認めるときは、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。

第3章 雑則

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

金沢市における文化の人づくりの推進に関する条例

平成28年3月24日 条例第5号

(平成28年4月1日施行)