○金沢市食の安全・安心の確保に関する条例
平成27年9月16日
条例第46号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 食の安全・安心の確保に関する基本的な施策(第7条―第17条)
第3章 金沢市食の安全・安心委員会(第18条―第21条)
第4章 雑則(第22条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、食の安全・安心の確保について、基本理念を定め、並びに市及び事業者の責務並びに市民の役割を明らかにするとともに、食の安全・安心の確保に関する施策の基本となる事項等を定めることにより、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民等の健康の保護を図るとともに、食育の推進並びに金沢の食文化の継承及び振興に寄与することを目的とする。
(1) 食の安全・安心の確保 食品等の安全性及び信頼性を確保することをいう。
(2) 食品 食品安全基本法(平成15年法律第48号)第2条に規定する食品をいう。
(3) 食品等 食品安全基本法第8条第1項に規定する食品、添加物、器具及び容器包装をいう。
(4) 市民等 市民及び観光その他の目的で本市の区域内に滞在する者をいう。
(5) 事業者 食品等を生産し、採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、又は販売することを営む者及び学校、病院その他の施設において継続的に不特定又は多数の者に食品を供与する者をいう。
(6) 特定事業者 次に掲げる事業者及びアに掲げる事業者により構成される団体であって、本市の区域内に事業所、事務所その他の事業に係る施設又は場所を有するものをいう。
ア 農林水産物を生産し、又は採取することを営む者
イ 食品等を製造し、輸入し、又は加工することを営む者
ウ 食品等を販売することを営む者であって、規則で定めるもの
(基本理念)
第3条 食の安全・安心の確保は、このために必要な措置が、市民等の健康の保護が最も重要であり、かつ、食育の推進並びに金沢の食文化の継承及び振興の根幹であるとの認識の下に講じられることにより、行われなければならない。
2 食の安全・安心の確保は、このために必要な措置が食品等の生産から消費又は使用に至る一連の行程の各段階において適切に講じられるとともに、市及び事業者の責務並びに市民の役割をそれぞれが主体的に果たすことにより、行われなければならない。
3 食の安全・安心の確保は、市民、事業者及び市が情報を共有し、相互に理解を深め、連携を図り、及び協働して行われなければならない。
4 食の安全・安心の確保は、このために必要な措置が科学的知見に基づいて講じられることにより、食品等による健康への悪影響が未然に防止されるように行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、食の安全・安心の確保に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、基本理念にのっとり、前項の規定により策定する施策に、市民及び事業者の意見を十分に反映させるよう努めるとともに、その施策の実施に当たっては、市民及び事業者の理解と協力を得るよう努めなければならない。
3 市は、基本理念にのっとり、第1項の施策を策定し、及び実施するに当たっては、国、県その他公共団体と密接な連携を図るよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、食品等の安全性を確保するために必要な措置を適切に講ずるとともに、自主的な衛生管理を積極的に実施しなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、食品等の正確かつ適切な情報の公開及び提供並びに市民との積極的な交流等を通じて、食品等に対する市民等の信頼を確保するよう努めるものとする。
3 事業者は、基本理念にのっとり、本市が実施する食の安全・安心の確保に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の役割)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、食の安全・安心の確保に関し知識と理解を深めるとともに、本市が実施する食の安全・安心の確保に関する施策及び事業者が行う食の安全・安心の確保に関する取組について意見を表明するよう努めることにより、食の安全・安心の確保に積極的な役割を果たすものとする。
2 市民は、自らの食品等の保存、調理、使用その他の取扱いが人の健康に影響を及ぼすことがあることを認識し、これらの取扱いを適切に行うよう努めるものとする。
第2章 食の安全・安心の確保に関する基本的な施策
(食の安全・安心基本方針の策定)
第7条 市長は、食の安全・安心の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食の安全・安心の確保に関する基本的な方針(以下「食の安全・安心基本方針」という。)を定めなければならない。
2 食の安全・安心基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 食の安全・安心の確保に関する施策の方向
(2) 食の安全・安心の確保のための措置に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、食の安全・安心基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、金沢市食の安全・安心委員会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、食の安全・安心基本方針を定めたときは、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、食の安全・安心基本方針を変更する場合について準用する。
(監視、指導等)
第8条 市は、食品等の安全性を確保するため、食品等の生産から販売に至る一連の行程の各段階において、関係機関と連携を図りながら、監視、指導、検査その他の必要な措置を講ずるものとする。
(情報の収集等及び提供)
第9条 市は、食の安全・安心の確保に関し、情報の収集、整理、分析等を行い、市民等及び事業者に対し、正確かつ適切な情報の提供を行うものとする。
(情報及び意見の交換の促進等)
第10条 市は、食の安全・安心の確保に関し、市民、事業者及び市の連携及び協働による取組が推進されるよう、相互の情報及び意見の交換の促進その他の必要な措置を講ずるものとする。
(事業者の自主的な取組の促進)
第11条 市は、事業者による食品等の安全性の確保に関する自主的な取組を促進するため、高度な衛生管理を行う事業者の取組を推進する制度の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。
(危機管理体制の整備等)
第12条 市は、食品等による健康への重大な被害の発生を未然に防止し、又は当該被害が発生した場合に迅速かつ適切に対処するため、危機管理体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
(食育及び健康づくりの推進)
第13条 市は、市民が食品等の安全性に関する理解を深め、適切な判断力を養うことができるよう、食育及び健康づくりの推進を通じて、食の安全・安心の確保に関する知識の普及及び啓発を行うものとする。
(金沢の食文化の継承及び振興への寄与)
第14条 市は、金沢の食文化の継承及び振興に寄与するため、事業者との連携及び協働により、食の安全・安心の確保の観点から必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(地産地消の推進)
第15条 市は、地産地消の推進を通じて、食の安全・安心の確保に資する食品の生産及び供給の拡大を図るものとする。
(自主回収の報告等)
第16条 特定事業者は、その生産し、採取し、製造し、輸入し、加工し、又は販売した食品等の自主的な回収に着手した場合(法令に基づく命令又は書面による回収の指導を受けて回収に着手した場合を除く。)であって、当該食品等が次の各号のいずれかに該当するときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより市長に報告しなければならない。
(1) 食品衛生法(昭和22年法律第233号)の規定に違反する食品等(同法第19条第2項の規定に違反するもの及び同法第58条第1項の規定により届け出なければならない場合に該当するものを除く。)
(2) 食品表示法(平成25年法律第70号)第4条第1項の規定による表示の基準に違反する食品等のうち規則で定める食品等(同法第10条の2第1項の規定により届け出なければならない場合に該当するものを除く。)
(3) 前2号に掲げるもののほか、健康への悪影響を未然に防止する観点から、この項の規定による報告が必要と認められる食品等として規則で定めるもの
(1) 本市の区域内に流通していないことが明らかな場合
(2) 市民等に販売されていないことが明らかな場合
(3) 販売の相手方である消費者が特定されている場合(当該販売を行った特定事業者において、当該消費者に直ちに連絡をすることができる場合に限る。)
(令3条例23・一部改正)
(回収の報告に係る指導、報告、公表等)
第17条 市長は、前条第1項の規定による報告に係る回収の措置が健康への悪影響の発生又はその拡大を防止する上で適切でないと認めるときは、当該報告を行った特定事業者に対し、当該回収の措置の変更に係る指導その他の必要な指導を行うことができる。
2 前条第1項の規定による報告を行った特定事業者は、当該報告に係る回収を終了したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより市長に報告しなければならない。
4 市長は、前条第1項の規定による報告に係る回収が行われた食品等が本市の区域内に存する場合にあっては、当該食品等に係る措置について指導を行うことができる。
第3章 金沢市食の安全・安心委員会
(金沢市食の安全・安心委員会)
第18条 本市における食の安全・安心の確保を図るため、金沢市食の安全・安心委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(委員会の任務)
第19条 委員会は、この条例に規定する事項その他の食の安全・安心の確保に関する事項について市長の諮問に応ずるほか、食の安全・安心の確保に関し必要な事項について市長に意見を述べることができる。
(組織等)
第20条 委員会は、委員10人以内で組織する。
2 委員は、食の安全・安心の確保に関し識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
5 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
6 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(専門部会)
第21条 委員会に、必要な事項を専門的に調査審議するため、専門部会を置くことができる。
2 専門部会は、専門委員若干人で組織する。
3 専門委員は、委員会の委員及び食の安全・安心の確保に関し識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
第4章 雑則
(委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
2 この条例の施行後最初に委嘱される委員の任期は、第20条第3項の規定にかかわらず、平成29年9月30日までとする。
附則(令和3年3月22日条例第23号)
1 この条例は、令和3年6月1日から施行する。
2 この条例の施行の日前に改正前の第16条第1項の規定に基づき着手した自主的な回収については、改正後の同項の規定にかかわらず、なお従前の例による。