○金沢市社会福祉法に基づく婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例

平成24年12月17日

条例第44号

(趣旨)

第1条 社会福祉法(昭和26年法律第45号。以下「法」という。)第65条第1項の規定による婦人保護施設(売春防止法(昭和31年法律第118号)第36条に規定する婦人保護施設をいう。以下同じ。)の設備及び運営に関する基準に関しては、この条例の定めるところによる。

(基本方針)

第2条 婦人保護施設は、入所者に対し、健全な環境のもとで、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員により、社会において自立した生活を送るための支援を含め、適切な処遇を行うよう努めなければならない。

(最低基準と婦人保護施設)

第3条 婦人保護施設は、この条例で定める基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させるよう努めなければならない。

(婦人保護施設の一般原則)

第4条 婦人保護施設の配置、構造及び設備は、日照、採光、換気等入所者の保健衛生に関する事項、入所者に対する危害の防止及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

2 婦人保護施設は、入所者の人権に十分配慮するとともに、一人ひとりの人格を尊重して、その運営を行わなければならない。

3 婦人保護施設は、入所者の人権の擁護、虐待の防止等のため、責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、その職員に対し、研修を実施する等の措置を講ずるよう努めなければならない。

(非常災害対策)

第5条 婦人保護施設は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けなければならない。

2 婦人保護施設は、入所者の特性及び当該婦人保護施設の周辺地域の環境等を踏まえ、火災、地震、津波、風水害等の非常災害ごとに、当該非常災害時における入所者の安全の確保のための体制、避難の方法等を定めた計画(以下「施設防災計画」という。)を策定し、定期的に職員に周知しなければならない。

3 婦人保護施設は、施設防災計画に基づき、非常災害時の関係機関への通報及び関係機関との連携の体制並びに入所者を円滑に避難誘導するための体制を整備し、定期的に、これらの体制について職員及び入所者に周知するとともに、避難訓練、救出訓練その他必要な訓練を行わなければならない。

4 婦人保護施設は、前項に規定する訓練の結果に基づき、施設防災計画の検証を行い、必要に応じて施設防災計画の見直しを行うものとする。

(苦情への対応等)

第6条 婦人保護施設は、その行った処遇に関する入所者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等必要な措置を講じなければならない。

2 婦人保護施設は、その行った処遇に関し、売春防止法第34条に規定する婦人相談所から指導又は助言を受けた場合には、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

3 婦人保護施設は、法第83条に規定する運営適正化委員会が行う法第85条第1項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。

(帳簿の整備)

第7条 婦人保護施設は、設備、職員及び会計に関する帳簿を整備しなければならない。

2 婦人保護施設は、入所者からの苦情及び相談、入所者に対する計画その他入所者の処遇の状況に関する帳簿を整備し、当該帳簿をその完結の日から5年間保存しなければならない。

(職員)

第8条 婦人保護施設には、施設長、入所者を指導する職員、調理員及び施設のその他の業務を行うために必要な職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する施設にあっては、調理員を置かないことができる。

2 婦人保護施設の職員は、専ら当該婦人保護施設の職務に従事する者でなければならない。ただし、入所者等の処遇に支障がない場合には、この限りではない。

(施設長の資格要件)

第9条 施設長は、施設を運営する能力と熱意を有する者であって、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。

(1) 社会福祉主事の資格を有する者又は社会福祉事業若しくは更生保護事業に3年以上従事した者であること。

(2) 罰金以上の刑に処せられたことのない者であること。

(3) 心身ともに健全な者であること。

(平27条例59・一部改正)

(研修の機会の確保)

第10条 婦人保護施設は、職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。

(秘密の保持等)

第11条 婦人保護施設の職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2 婦人保護施設は、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

(設備の基準)

第12条 婦人保護施設の建物(入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する耐火建築物をいう。次項において同じ。)又は準耐火建築物(同条第9号の3に規定する準耐火建築物をいう。次項において同じ。)でなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、市長が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、次の各号のいずれかの要件を満たす木造かつ平屋建ての婦人保護施設の建物であって、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。

(1) スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、調理室等火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。

(2) 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。

(3) 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。

3 婦人保護施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。

(1) 事務室

(2) 相談室

(3) 宿直室

(4) 居室

(5) 集会室兼談話室

(6) 静養室

(7) 医務室

(8) 作業室

(9) 食堂

(10) 調理室

(11) 洗面所

(12) 浴室

(13) 便所

(14) 洗濯室

4 前項各号に掲げる設備の基準は、次のとおりとする。

(1) 居室

 入所者1人当たりの床面積は、収納設備等を除き、おおむね4.95平方メートル以上とすること。

 主要な出入口は、避難上有効な空地、共同廊下又は広間に直面して設けること。

 寝具を収納するための押入れその他の設備のほか、各人ごとに身の回り品を収納することができる収納設備を設けること。ただし、寝台を設けてある場合においては、寝具を収納するための設備は、設けることを要しないこと。

(2) 相談室 室内における談話の漏えいを防ぐための間仕切り等を設けること。

(3) 医務室 入所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機械器具を備えること。

(4) 食堂及び調理室 食器、調理器具等の消毒その他食堂及び調理室を常に清潔を保持するために必要な措置を講じなければならないこと。

(5) その他の設備

 廊下、便所その他必要な場所に常夜灯を設けること。

 火気を使用する部分は、不燃材料を用いること。

(居室の入所人員)

第13条 一の居室に入所させる人員は、原則として4人以下とする。

(自立の支援等)

第14条 婦人保護施設は、入所者の自立を支援するため、入所者の就労及び生活に関する指導及び援助を行わなければならない。

2 前項の指導及び援助は、入所者の私生活を尊重して行わなければならない。

3 婦人保護施設は、入所者の起床、就寝、食事、入浴その他の日常生活に関する事項についての規程を定めなければならない。

4 婦人保護施設は、入所者の自立を促進するため、各入所者ごとに自立促進計画を作成しなければならない。

(給食)

第15条 給食は、食品の種類及び調理方法について栄養並びに入所者の身体的状況及び好を考慮したものでなければならない。

2 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行わなければならない。

3 栄養士を置かない婦人保護施設にあっては、献立の内容、栄養価の算定及び調理の方法について保健所等の指導を受けなければならない。

(保健衛生)

第16条 婦人保護施設は、入所者については、毎年2回以上定期に健康診断を行わなければならない。

2 婦人保護施設は、居室その他入所者が常時使用する設備について、常に清潔にしなければならない。

3 婦人保護施設は、入所者の使用する食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理を適正に行わなければならない。

4 婦人保護施設は、当該婦人保護施設において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(給付金として支払を受けた金銭の管理)

第17条 婦人保護施設は、当該婦人保護施設の設置者が入所者に係る婦人保護施設の設備及び運営に関する基準(平成14年厚労省令第49号)第14条の2の規定により厚生労働大臣が定める給付金(以下この条において「給付金」という。)の支給を受けたときは、給付金として支払を受けた金銭を次に掲げるところにより管理しなければならない。

(1) 当該入所者に係る当該金銭及びこれに準ずるもの(これらの運用により生じた収益を含む。以下この条において「入所者に係る金銭」という。)をその他の財産と区分すること。

(2) 入所者に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。

(3) 入所者に係る金銭の収支の状況を明らかにする帳簿を整備すること。

(4) 当該入所者が退所した場合には、速やかに、入所者に係る金銭を当該入所者に取得させること。

(関係機関との連携)

第18条 婦人保護施設は、婦人相談所、福祉事務所、都道府県警察、母子・父子福祉団体、公共職業安定所、職業訓練施設その他の関係機関及び婦人相談員、母子・父子自立支援員、民生委員、児童委員、保護司その他の関係者と密接に連携しなければならない。

(平26条例44・一部改正)

(電磁的記録)

第19条 婦人保護施設は、作成、保存その他これらに類するもののうち、この条例の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるものについては、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。

(令3条例34・追加)

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(令3条例34・旧第19条繰下)

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(平成26年9月9日条例第44号、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例第4条による改正)

この条例は、平成26年10月1日から施行する。

(平成27年12月21日条例第59号)

この条例は、平成28年1月1日から施行する。

(令和3年6月22日条例第34号、金沢市障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例第2条による改正抄)

この条例は、令和3年7月1日から施行する。

金沢市社会福祉法に基づく婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例

平成24年12月17日 条例第44号

(令和3年7月1日施行)

体系情報
第11類 福祉・健康/第1章 社会福祉/第1節
沿革情報
平成24年12月17日 条例第44号
平成26年9月9日 条例第44号
平成27年12月21日 条例第59号
令和3年6月22日 条例第34号