○金沢市における災害に強い都市整備の推進に関する条例

平成15年3月24日

条例第8号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 災害に強い都市整備対策(第6条―第18条)

第3章 市民等による自主的な災害に強い都市整備の推進(第19条―第21条)

第4章 災害に強い都市整備に関する活動に対する支援等(第22条―第24条)

第5章 雑則(第25条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市の伝統環境との調和を保ちながら、市、市民及び事業者が協働して災害を未然に防止し、及び災害が発生した場合における被害の拡大を防ぐための秩序ある施設の整備(以下「災害に強い都市整備」という。)を推進することにより、現在及び将来の市民の生命、身体及び財産を災害から保護するとともに、本市の健全かつ持続的な発展に寄与することを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

(2) 金沢市地域防災計画 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条の規定により作成された本市の地域防災計画をいう。

(3) 伝統的建造物等 金沢市文化財保護条例(昭和48年条例第8号)第5条第1項の規定により金沢市指定文化財として指定された建造物、金沢市伝統的建造物群保存地区保存条例(昭和52年条例第2号)第3条第2項第4号に規定する建築物等及び物件、金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例(平成21年条例第4号)第35条第1項の規定により保存対象物等として指定された建築物及び工作物並びに金沢市こまちなみ保存条例(平成6年条例第1号)第12条第1項の規定によりこまちなみ保存建造物として登録された建造物その他これらに準ずるものとして市長が認めるものをいう。

(4) がけ こう配が30度を超える傾斜地で、高さ3メートルを超えるものをいう。

(5) ブロック塀等 コンクリートブロック造、れんが造、石造その他の組積造の塀及び門柱をいう。

(6) 土地権利者等 本市の区域内に存する土地又は建築物の所有者(これらについて使用することができる権利を有する者を含む。)をいう。

(7) 地区計画等 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第9項に規定する地区計画等をいう。

(平21条例4・平26条例30・一部改正)

(市の責務)

第3条 市は、市民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、その組織及び機能のすべてを挙げて、災害に強い都市整備を推進するために最大の努力を払わなければならない。

2 市は、災害に強い都市整備を推進するに当たっては、市民及び事業者の理解と協力を得るよう努めるとともに、市民及び事業者が行う災害に強い都市整備を推進するための活動を積極的に支援するために必要な施策を実施するものとする。

3 市は、金沢市地域防災計画に基づき、的確かつ円滑に災害に強い都市整備を推進するものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、災害に強い都市整備についての理解と関心を深め、地域における災害に強い都市整備の推進に努めるとともに、本市が実施する災害に強い都市整備に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、自らが地域社会の一員であることを認識し、市民と共に災害に強い都市整備の推進に努めるとともに、本市が実施する災害に強い都市整備に関する施策に協力しなければならない。

第2章 災害に強い都市整備対策

(公共施設の安全の確保)

第6条 市長は、本市が設置し、又は管理する建築物、道路、河川、公園、広場その他の公共施設(以下「公共施設」という。)の災害に対する安全の確保に努めなければならない。

(一般建築物の安全の確保)

第7条 市長は、一般建築物(次条の特殊建築物等及び伝統的建造物等以外の建築物をいう。)の災害に対する安全を確保するため、当該一般建築物の所有者又は管理者に対し、必要かつ適切な助言又は指導をするとともに、特に必要があると認めるときは、技術的な援助をすることができる。

(特殊建築物等の安全の確保)

第8条 市長は、特殊建築物等(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第2号に規定する特殊建築物その他これに準ずるものとして市長が認める建築物をいう。)の災害に対する安全を確保するため、当該特殊建築物等のうち特に市長が指定するものについて定期的に検査を行い、又はその所有者若しくは管理者に当該検査を行わせるとともに、必要があると認めるときは、その改善について助言をすることができる。

(伝統的建造物等の安全の確保)

第9条 市長は、伝統的建造物等の災害に対する安全を確保するため、当該伝統的建造物等の所有者又は管理者に対し、必要かつ適切な助言又は指導をするとともに、特に必要があると認めるときは、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。

(公共施設の整備)

第10条 市長は、災害が発生した場合における安全な避難及び救助、家屋等の浸水の防止、火災の拡大の防止等のために必要な公共施設の整備に努めなければならない。

(消防水利の確保)

第11条 市長は、災害による火災の発生時における消火及び火災の拡大の防止を図るため、河川、用水等を消火活動に活用できるよう整備するとともに、多様な消防水利の確保に努めなければならない。

(避難用の通り抜け通路及び空地の確保)

第12条 市長は、災害が発生した場合における安全な避難のために必要な通り抜け通路及び空地の確保に努めなければならない。

(土地等の安全の確保)

第13条 本市の区域内に存する土地又は建築物その他の工作物の所有者又は管理者は、災害が発生した場合における被害を最小限にとどめるため、その所有し、又は管理する土地又は建築物その他の工作物に対する安全の確保に努めなければならない。

(がけの安全の確保)

第14条 がけ及びがけに近接する土地の所有者又は管理者は、がけくずれによる被害を防止するため、地盤に異常がないかどうかについて点検を行うよう努めるとともに、当該地盤に異常があると認められたときは、直ちにその旨を市及び関係機関等に通報するよう努めなければならない。

2 がけの所有者又は管理者は、当該がけに異常があると認められたときは、必要に応じ、当該がけの防災工事等を行い、その安全の確保に努めなければならない。

3 市長は、定期的にがけの点検を行うとともに、当該がけに異常があると認められるときは、当該がけの所有者又は管理者に対し、その安全の確保のために必要な助言又は指導をすることができる。

第15条 がけ及びがけに近接する土地において、宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更を行う者は、がけくずれに対する安全な措置を講じなければならない。ただし、がけの地質又は形状により安全上支障がないと認められる場合は、この限りでない。

2 がけ及びがけに近接する土地において造成し、又は造成された宅地を販売する者は、当該宅地を購入しようとする者に対し、がけがその特性により常時災害の危険性を有し、将来にわたってその安全の確保のための適正な維持及び管理が必要であることについて適切な説明を行わなければならない。

3 市長は、前2項に規定する者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

(避難路等の安全の確保)

第16条 ブロック塀等の所有者又は管理者は、災害が発生した場合における当該ブロック塀等の倒壊を防止するため、定期的に当該ブロック塀等の点検を行うとともに、必要に応じ、当該ブロック塀等の補強又は改修、当該ブロック塀等に代わる生け垣、さく等の設置等を行うよう努めなければならない。

2 建築物又は広告塔、装飾塔、広告板その他の屋外に取り付けられている物(以下「広告塔等」という。)の所有者又は管理者は、災害が発生した場合における落下対象物(建築物のかわら、外装材、屋外に面しているガラス、屋外に設置された設備機器その他これらに類する建築物の部分及び広告塔等をいう。以下同じ。)の落下を防止するため、定期的に当該落下対象物の点検を行うとともに、必要に応じ、当該落下対象物の改修等を行うよう努めなければならない。

3 屋外に設置された自動販売機(以下「自動販売機」という。)の所有者又は管理者は、災害が発生した場合における当該自動販売機の転倒を防止するため、定期的な当該自動販売機の点検等を行うよう努めなければならない。

4 市長は、避難路又は緊急輸送路に面するブロック塀等、落下対象物及び自動販売機のうち、災害が発生した場合において危険であると認められるものの所有者又は管理者に対し、その安全の確保のために必要な助言又は指導をすることができる。

(安全対策の普及及び啓発)

第17条 市長は、避難路又は緊急輸送路の安全を確保するため、市民、事業者その他関係団体と協力して、がけ、ブロック塀等、落下対象物及び自動販売機について必要な安全対策の普及及び啓発に努めなければならない。

(報告の徴収等)

第18条 市長は、第7条から第9条まで、第14条第3項第15条第3項又は第16条第4項の規定による助言又は指導をしたときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、安全の確保のために必要な措置に関する報告又は資料の提出を求めることができる。

第3章 市民等による自主的な災害に強い都市整備の推進

(地区施設整備計画の策定)

第19条 市民等(市民又は土地権利者等をいう。以下同じ。)は、自ら災害に強い都市整備を推進するため、当該地区における災害に強い都市整備の推進に関する計画(以下「地区施設整備計画」という。)を策定することができる。

2 地区施設整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 地区施設整備計画の名称

(2) 地区施設整備計画の対象となる区域

(3) 地区施設整備計画の目標年次

(4) 災害に強い都市整備の目標及び方針

(5) その他災害に強い都市整備を推進するために必要な事項

3 市民等は、地区施設整備計画を策定するに当たっては、本市のまちづくりに関する計画及び金沢市地域防災計画に調和するものとしなければならない。これを変更する場合も、同様とする。

4 市長は、市民等が地区施設整備計画を策定するに当たっては、当該地区施設整備計画が本市のまちづくりに関する計画及び金沢市地域防災計画に調和したものとなるよう協力しなければならない。

5 市長は、市民等による地区施設整備計画の策定を推進するため必要があると認めるときは、当該市民等に対し、技術的な援助をすることができる。

(防災まちづくり協定)

第20条 市民等は、前条の規定により地区施設整備計画を策定したときは、市長と災害に強い都市整備の推進に関する協定(以下「防災まちづくり協定」という。)を締結することができる。

2 市長は、防災まちづくり協定を締結したときは、その旨及びその内容を公告しなければならない。

3 前項の規定は、防災まちづくり協定を変更する場合について準用する。

4 市長は、防災まちづくり協定を締結したときは、当該防災まちづくり協定の締結に係る市民等に対し、予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。

(地区計画等への要請等)

第21条 前条第1項の規定により締結された防災まちづくり協定に係る区域内の市民等は、当該防災まちづくり協定の締結に係る地区施設整備計画を地区計画等として都市計画に定めるよう市長に要請することができる。

2 市長は、前項の要請があった場合において、当該地区施設整備計画が地区計画等に適合すると認めるときは、都市計画法第19条第1項の規定による都市計画の決定に係る手続を行うものとする。

第4章 災害に強い都市整備に関する活動に対する支援等

(国等への要請)

第22条 市長は、市民及び事業者が行う自主的な災害に強い都市整備に関する活動又は市民等による地区施設整備計画の策定若しくは当該地区施設整備計画に基づく災害に強い都市整備の推進に関し必要があると認めるときは、国、県、他の地方公共団体その他関係団体に対し、必要な協力を要請しなければならない。

(援助)

第23条 市長は、第7条第9条第19条第5項及び第20条第4項に定めるもののほか、災害に強い都市整備を推進するため必要があると認めるときは、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。

(表彰)

第24条 市長は、災害に強い都市整備の推進に著しく貢献した者を表彰することができる。

第5章 雑則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(平成21年3月24日条例第4号、金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例附則第14項による改正抄)

1 この条例は、規則で定める日から施行する。〔平成21年規則第57号で、平成21年10月1日から施行〕

(平成26年3月25日条例第30号、金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例の一部を改正する条例附則第2項による改正抄)

1 この条例は、平成26年7月1日から施行する。

金沢市における災害に強い都市整備の推進に関する条例

平成15年3月24日 条例第8号

(平成26年7月1日施行)

体系情報
第13類 都市整備/第1章 都市計画等/第1節 都市計画
沿革情報
平成15年3月24日 条例第8号
平成21年3月24日 条例第4号
平成26年3月25日 条例第30号