○金沢市男女共同参画推進条例

平成13年12月19日

条例第80号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本的施策(第8条―第14条)

第3章 男女共同参画の推進(第15条)

第4章 金沢市男女共同参画審議会(第16条―第20条)

第5章 雑則(第21条)

附則

すべての人が性別にかかわりなく個人として尊重され、自らの意思により個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現は、私たちの願いである。

個人の尊重と法の下の平等は日本国憲法にうたわれており、男女は社会の対等な構成員としてあらゆる分野の活動に共に参画することにより、調和のとれた豊かな社会を形成しなければならない。また、近年の少子高齢化の進展、家族及び地域社会の変化、情報化の急速な進展等の社会経済情勢の急激な変化に対し、男女がその人権を尊重しつつ、対等に責任を分かち合う柔軟な対応が求められている。

本市においては、あらゆる分野での男女平等を目指し、「男女平等推進かなざわ行動計画」の策定をはじめとする積極的な施策の取組をこれまでも推進してきたが、今なお社会的又は文化的に形成された性別による固定的な役割分担やそれに基づく社会慣行が残されており、真の男女平等の達成にはいまだに多くの課題が残されている。

個性豊かな風格と活力ある金沢を築くため、男女が自立した人間として社会のあらゆる分野で生き生きと輝くことのできる男女共同参画社会の実現を市政の重要課題と位置付け、市、市民及び事業者の協力及び連携により、新しい社会の編成を目指した意識の改革及び施策の充実を図ることが必要である。

ここに、私たちは男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画を推進するための基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ効果的に推進し、もって自立した個人としての男女の人権が尊重され、あらゆる分野において平等な男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) ジェンダー 生物学的な性差とは異なる社会的又は文化的に形成された性差をいう。

(3) 積極的改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(4) セクシュアル・ハラスメント 他の者の意に反した性的な言動を行うことにより、当該他の者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた者の対応により当該言動を受けた者に不利益を与えることをいう。

(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。)若しくはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下「身体に対する暴力等」という。)又は生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。以下同じ。)をする関係にある相手からの身体に対する暴力等をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含む。)をし、若しくはその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等又は生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が当該関係を解消した場合にあっては、当該関係にあった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。

(平17条例29・平25条例40・一部改正)

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる男女が自立した人間として社会のあらゆる分野で生き生きと輝くことのできる社会を形成することを基本として行われなければならない。

(1) 男女が、性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会

(2) 男女一人ひとりが、自立した個人としてその能力を十分に発揮し、固定的な役割を強制されることなく、自己の意思と責任により多様な生き方を選択することができる社会

(3) 男女が、社会の構成員として、市における政策又は事業者その他の団体における方針の立案及び決定に関し平等に参加する機会が確保される社会

(4) 男女が、ジェンダーをこえて、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動及び地域、職場、学校その他の社会生活における活動に平等な立場で参画し、責任を分かち合い、男女共同参画社会を共に担うことができる人格が形成される社会

(5) 男女が、互いの性を尊重し、性と生殖に関する健康と権利を認め合う社会

(6) 男女が、国際社会における男女共同参画の取組と協調し、連携を深め合う社会

(性別による権利侵害の禁止)

第4条 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、男女間における暴力的行為(身体的又は精神的苦痛を著しく与える行為をいう。)その他の行為により男女の人権を損なうことのないようにしなければならない。

(市の責務)

第5条 市は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するに当たっては、市民、事業者、国、他の地方公共団体及び関係団体と相互に連携し、及び協力するよう努めなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念に対する理解を深め、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が行う男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、その事業活動に関し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が行う男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、男女が職場における活動に対等に参画する機会を確保するよう努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めなければならない。

第2章 基本的施策

(行動計画)

第8条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策並びに市民及び事業者の取組を総合的かつ計画的に推進するための行動計画(以下「行動計画」という。)を策定しなければならない。

2 市長は、行動計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を反映するよう努めなければならない。

3 市長は、行動計画を策定するに当たっては、あらかじめ金沢市男女共同参画審議会に意見を求め、その意見を尊重しなければならない。

4 市長は、行動計画を策定したときは、これを公表しなければならない。

5 前3項の規定は、行動計画の変更について準用する。

(調査研究)

第9条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施していくため、必要な調査研究を行うよう努めるものとする。

(報告の徴収等)

第10条 市長は、男女共同参画の推進に必要があると認めるときは、事業者に対し、職場における男女共同参画の状況について報告を求めることができる。

2 市長は、前項の規定により把握した男女共同参画の状況を取りまとめ、公表することができる。

3 市長は、第1項の報告に基づき、事業者に対し、情報の提供等を行うことができる。

(男女共同参画についての啓発等)

第11条 市は、男女共同参画について広く市民及び事業者の理解を深めるため、その啓発、学習の促進等に積極的に努めるものとする。

(年次報告)

第12条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等について、毎年、報告書を作成し、公表しなければならない。

(苦情の処理等)

第13条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情について、市内に住所を有する者、市内の事務所若しくは事業所に勤務する者又は市内の学校に在学する者(以下「市民等」という。)からの申出を処理するための機関を設置するものとする。

2 市民等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について苦情がある場合は、前項の機関に申し出ることができる。

3 第1項の機関は、前項の規定により苦情の申出があった場合において、必要に応じて、同項の施策を行う市の機関に対し、資料の提出又は説明を求め、必要があると認めるときは、当該市の機関に是正その他の措置をとるよう助言、指導又は勧告を行うものとする。

(ドメスティック・バイオレンスの被害者の保護等)

第14条 市長は、ドメスティック・バイオレンスによる権利侵害があったと認められる場合には、被害者の保護その他必要な措置をとるよう努めなければならない。

2 市は、ドメスティック・バイオレンスの被害者が自立して生活することを支援するため、各種制度の利用のあっせん、情報の提供その他必要な援助を行うものとする。

第3章 男女共同参画の推進

(決定過程への男女共同参画の促進に向けた支援等)

第15条 市は、市の関係団体又は民間の団体における方針の決定過程への男女共同参画を促進するための活動に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。

2 市は、男女共同参画に関する施策を積極的に推進するため、その拠点としての機能を高めながら、必要な体制を整備するよう努めるものとする。

3 市は、市の設置に係る男女共同参画を推進するための合議制の機関においては、男女のいずれか一方の委員等の数が、委員等の総数の10分の4未満にならないように努めなければならない。

第4章 金沢市男女共同参画審議会

(金沢市男女共同参画審議会)

第16条 行動計画その他男女共同参画に関する重要な事項を調査審議するため、金沢市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(審議会の任務)

第17条 審議会は、この条例に規定する事項その他男女共同参画の推進に関する重要な事項について市長の諮問に応ずるほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項について、市長に意見を述べることができる。

(組織等)

第18条 審議会は、委員20人以内で組織する。

2 委員は、男女共同参画に関し識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 審議会に、会長を置き、委員の互選によりこれを選任する。

5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

6 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。

(専門部会)

第19条 審議会に、必要な事項を専門的に調査するため、専門部会を置くことができる。

2 専門部会は、専門委員若干人で組織する。

3 専門委員は、審議会の委員及び男女共同参画に関し識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。

4 専門部会に、部会長を置き、専門委員の互選によりこれを選任する。

5 部会長は、専門部会の事務を掌理する。

(運営事項の委任)

第20条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

第5章 雑則

(委任)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成14年4月1日から施行する。

(平成17年3月25日条例第29号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成25年12月17日条例第40号)

この条例は、平成26年1月3日から施行する。

金沢市男女共同参画推進条例

平成13年12月19日 条例第80号

(平成26年1月3日施行)