○子どもの幸せと健やかな成長を図るための社会の役割に関する条例

平成13年12月19日

条例第73号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 子どもの育成に関する大人の責務(第4条―第8条)

第3章 子どもの育成に関する基本的な施策等(第9条―第14条)

第4章 子どもの育成についての推進体制(第15条―第17条)

第5章 雑則(第18条・第19条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、子どもを取り巻く社会環境の変化に対応した新しい時代の子どもの育成について、その基本理念、大人の責務、基本的な施策等を明らかにすることにより、金沢コミュニティが一体となって子どもの育成に主体的にかかわっていく中で、次代を担うすべての子どもの幸せと健やかな成長を図ることを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において「子ども」とは、おおむね15歳未満の者をいう。

2 この条例において「金沢コミュニティ」とは、金沢を愛する心が育んできた住民相互の高い連帯意識と福祉、環境、教育等のさまざまな分野にわたり相互に力を合わせて住みよいまちづくりを進めてきた公私協働の土壌が培われた本市固有の地域社会をいう。

(基本理念)

第3条 子どもの育成は、金沢コミュニティを形成する家庭、地域、学校、企業、行政等のすべてが、子どもの育成に責任を有することを認識し、その役割に応じて主体的に子どもの育成にかかわっていくとともに、すべての子どもの幸せと健やかな成長を図るという共通の目的の下に相互に連携し、及び協力して行われなければならない。

2 子どもの育成は、子どもの人格を尊重し、子どもが社会において保障されるべきさまざまな権利を有していることを認識するとともに、自ら考え、判断し、行動する力、健やかで思いやりのある心、金沢を愛する心、社会の一員としての責任感及び世界に通ずる広い視野と豊かな国際感覚を持つ子どもを育てることを基本として行われなければならない。

3 子どもの育成は、大人が、日常生活における大人の行動等が子どもに大きな影響を与えることを認識し、一人ひとりが自らの行動等を省みながら、自らを律することにより行われなければならない。

第2章 子どもの育成に関する大人の責務

(家庭の責務)

第4条 保護者は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どもの行動及び人格の形成に最も大きな責任を負うことを自覚し、愛情を持って子どもに接するとともに、基本的な生活習慣や社会的な決まりを守る意識を子どもが身に付けることができるようにしながら、子どもの健やかで豊かな人間性を育むよう努めるものとする。

2 保護者は、基本理念にのっとり、成長段階に応じて子どもとの適切な距離を保ちながら、家庭内における意思の疎通を図るよう努めるものとする。

(地域の責務)

第5条 地域の住民及び町会その他の地域関係団体(以下「地域の住民等」という。)は、基本理念にのっとり、健やかな子どもの育成に地域の主体的なかかわりが果たす役割の大切さを認識し、地域の住民等の高い連帯意識を生かし、又は培いながら、子どもの育成のために相互に連携し、及び協力して、地域の伝統行事等への子どもの参加に関する活動、ボランティア活動をはじめとする社会体験活動その他の地域における子どもの育成に関する活動を積極的に推進するよう努めるものとする。

2 地域の住民等は、基本理念にのっとり、地域において子どもを見守り、かつ、子どもへの声かけ等を行うことを通して、子どもとのかかわりを深めるよう努めるとともに、社会的な決まりに反し、又は他人に迷惑を及ぼすような子どもの行動に対しては、これを改めるよう注意と指導をするなど、地域全体としての取組を行うよう努めるものとする。

(学校等の責務)

第6条 幼稚園及び保育所は、基本理念にのっとり、集団の中での遊び等を通して、人間としての基礎的な社会性を育み、子どもの心身の発達を助長するものとする。

2 小学校、中学校その他の義務教育諸学校は、基本理念にのっとり、集団生活を通して、社会性、基礎学力、自ら学び、考える力等を子どもが心身の発達に応じて身に付けることができるようにするものとする。

(企業の責務)

第7条 企業(企業以外の事業活動を営むすべてのものを含む。以下同じ。)は、基本理念にのっとり、子どもを育てる家庭と企業とのかかわりや子どもの豊かな社会性を育むことについての企業の役割の大切さを認識し、企業で働く保護者がその子どもとのかかわりを深めることができるよう配慮するとともに、地域の住民等、学校等が行う職場体験活動その他の子どもの育成に関する活動に協力するよう努めるものとする。

(市の責務)

第8条 市は、基本理念にのっとり、金沢コミュニティが一体となって子どもの育成を推進するための施策を策定し、及び実施しなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、前項の規定により策定する施策に市民の意見を十分に反映させるよう努めるとともに、その施策の実施に当たっては、市民の理解と協力を得るよう努めなければならない。

3 市は、基本理念にのっとり、家庭、地域、学校、企業等における子どもの育成に関する取組について、相互の連携と協力が図られるよう総合的な調整を行うものとする。

第3章 子どもの育成に関する基本的な施策等

(子どもを育む行動計画の策定)

第9条 市は、子どもの育成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子どもを育む行動計画(以下「行動計画」という。)を定めるものとする。

2 行動計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 家庭教育の充実及び子どもの育成に関する家庭への支援等に関する事項

(2) 子どもの育成に関する地域の活動への支援等に関する事項

(3) 学校教育等の充実に関する事項

(4) 子どもの育成への企業のかかわりの促進等に関する事項

(5) 前各号に掲げるもののほか、子どもの育成を推進するために必要な事項

(子どもの自然体験活動等の充実等)

第10条 市、地域の住民等、学校等は、子どもの自然体験活動、社会体験活動、国際交流活動等の充実を図るとともに、これらの活動等を通して、年齢、世代、文化等を超えた人と人との広い交流の機会を確保するよう努めるものとする。

(子どもの自主的な活動への支援等)

第11条 市、地域の住民等、学校等は、スポーツ、科学、伝統文化等に関する子どもの自主的な活動を支援するとともに、子どもの自主的な企画及び運営による活動が行われるための機会を確保するよう努めるものとする。

(子どもの健全育成事業)

第12条 市は、子どもの健全な育成を図るための事業をより充実するとともに、子どもの健全な日常活動の積極的な推進を図るため、子どもの国内及び国外への派遣研修、善行表彰等の事業を実施するものとする。

(子どもに関する相談体制の充実等)

第13条 市は、教育、福祉及び保健の分野における子どもに関する相談を行う市の機関の密接な連携を図り、子どもの育成に係る総合的な相談体制の充実を図るものとする。

2 市は、子どもに関する相談を行う市以外の機関、市民団体等との連携を深めることにより、虐待の防止、子どもの育成に係る相談体制の充実等に努めるものとする。

(金沢子ども週間)

第14条 金沢コミュニティが一体となって子どもの育成を推進するため、金沢子ども週間を次のように定める。

時期

趣旨

10月の第2日曜日からその直後の土曜日までの7日間

家庭、地域等における子どもとのふれあいを通して、大人が子どもに目を向け、共に話し合い、理解を深めるとともに、子どもの育成についての大人の役割の大切さを認識する。

第4章 子どもの育成についての推進体制

(金沢子どもを育む行動推進委員会)

第15条 金沢コミュニティが一体となって子どもの育成を推進するため、金沢子どもを育む行動推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(委員会の任務)

第16条 委員会は、行動計画に関する事項等について審議するとともに、この条例に基づく施策を総合的に推進するために必要な事項について協議するものとする。

(組織等)

第17条 委員会は、委員30人以内で組織する。

2 委員は、子どもの育成に関し識見を有する者、関係行政機関の職員及び本市の職員のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを選任する。

5 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

6 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。

第5章 雑則

(15歳以上18歳未満の者についての配慮)

第18条 この条例の施行に当たっては、子どもから大人への成長過程にあるおおむね15歳以上18歳未満の者についても、その心身の発達に応じて高まる自立性が尊重されながら、社会性、自ら考え、判断し、行動する力等の大人として必要な資質がさらに育まれるよう、必要な配慮がなされるものとする。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長その他の執行機関が別に定める。

1 この条例は、平成14年1月1日から施行する。

2 次に掲げる条例は、廃止する。

(1) 金沢市青少年問題協議会設置条例(昭和37年条例第2号)

(2) 金沢市児童健全育成事業条例(昭和54年条例第1号)

〔次のよう略〕

子どもの幸せと健やかな成長を図るための社会の役割に関する条例

平成13年12月19日 条例第73号

(平成14年1月1日施行)