○医王ダム管理規程

平成13年3月30日

訓令甲第2号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 ダム及び貯水池の管理の原則

第1節 流水の貯留及び放流の方法(第7条―第11条)

第2節 放流の際にとるべき措置等(第12条―第17条)

第3章 洪水における措置に関する特則(第18条―第21条)

第4章 雑則(第22条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、医王ダム(以下「ダム」という。)の操作の方法のほか、ダム及び医王ダム貯水池(以下「貯水池」という。)の管理に関し、必要な事項を定めるものとする。

(用語の意義)

第2条 この規程において「洪水」とは貯水池への流入量(以下「流入量」という。)が1秒につき16立方メートル以上であることをいい、「洪水時」とは洪水が発生しているときをいう。

(管理主任技術者)

第3条 医王ダム管理事務所に、河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第50条第1項に規定する管理主任技術者1人を置く。

2 前項の管理主任技術者は、職員を指揮監督して、法及びこれに基づく命令並びにこの規程の定めるところにより、ダム及び貯水池の管理に関する事務を誠実に行わなければならない。

(ダム及び貯水池の諸元等)

第4条 ダム及び貯水池の諸元その他これに類するダム及び貯水池の管理上参考となる事項は、次のとおりとする。

(1) ダム

 高さ 58.8メートル

 堤頂の標高 168.8メートル

 越流頂の標高 158.5メートル

 放流ゲート

(ア) 規模及び数 内径800ミリメートルのもの及び内径200ミリメートルのものが主及び副各1門ずつ

(イ) 開閉の速さ 1分につき0.05メートル

 設計洪水流量 1秒につき420立方メートル

(2) 貯水池

 直接集水地域の面積 9.68平方キロメートル

 たん水区域の面積 0.20平方キロメートル

 最大背水距離 2.785キロメートル

 設計洪水位 標高166.28メートル(水位計による表示166.28メートル)

 常時満水位 標高158.50メートル(水位計による表示158.50メートル)

 サーチャージ水位 標高164.00メートル(水位計による表示164.00メートル)

 最低水位 標高140.60メートル

 有効貯水容量 2,741,000立方メートル

(3) 最大取水量 1秒につき0.995立方メートル

(平20訓令甲6・平30訓令甲3・一部改正)

(貯水位の算定方法)

第5条 貯水池の水位(以下「貯水位」という。)は、医王ダム貯水池水位観測所の水位計の読みに基づいて算定するものとする。

(流入量の算定方法)

第6条 流入量は、これを算定すべき時を含む一定の時間における貯水池の貯水量の増分と当該一定の時間における貯水池からの延べ放流量との合算量を当該一定の時間で除して算定するものとする。

2 前項の貯水量の増分は、同項の一定の時間が始まる時及びこれが終わる時における貯水位にそれぞれ対応する貯水池の貯水量を別図により求め、これらを差引計算して算定するものとする。

第2章 ダム及び貯水池の管理の原則

第1節 流水の貯留及び放流の方法

(流水の貯留の最高限度)

第7条 貯水池における流水の貯留は、第20条の規定により洪水調節をする場合を除くほか、常時満水位を超えてはならない。

(流水の貯留の制限)

第8条 貯水池における流水の貯留は、毎年1月1日から3月31日までの間において、ダムの直下の流量が1秒につき0.1立方メートルを超える場合に限り、その超える部分の範囲内で行うことができる。

(ダムから放流を行うことができる場合)

第9条 ダムの放流は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り行うことができる。

(1) 下流におけるかんがい用水の取水のため必要な河川の流量を確保する必要があるとき。

(2) 前2条の規定を守るため必要があるとき。

(3) 第20条の規定により貯水池から放流するとき。

(4) ダムその他貯水池内の施設又は工作物の点検又は整備のため必要があるとき。

(5) その他やむを得ない必要があるとき。

(放流の開始及び放流量)

第10条 貯水池からの放流は、第20条の規定により行う場合を除くほか、下流の水位の急激な変動を生じないように行わなければならない。

(放流ゲートの操作)

第11条 ダムの放流ゲートは、第9条の規定により放流する場合又は放流設備の点検若しくは整備のため必要がある場合を除くほか、開閉してはならない。

第2節 放流の際にとるべき措置等

(放流の際の関係機関に対する通知)

第12条 法第48条の規定による関係機関に対する通知は、ダムの洪水吐又は放流ゲートからの放流(当該放流の中途における放流量の著しい増加で、これによって下流に危害が生ずるおそれがあるものを含む。次条及び第14条において「ダム放流」という。)の開始の少なくとも1時間前に、別表第1に定めるところにより行うものとする。

(放流の際の一般に周知させるための措置)

第13条 法第48条の規定による一般に周知させるために必要な措置は、ダム地点から田島川合流地点までの森下川の区間についてとるものとする。

2 河川法施行令(昭和40年政令第14号。以下「令」という。)第31条の規定による警告は、別表第2に掲げるサイレン及び警報車の拡声機により、それぞれ次に掲げる時期に行うものとする。

(1) ダム地点に設置されたサイレンによる警告にあっては、ダム放流開始の約15分前から約4分間

(2) ダム地点以外の地点に設置されたサイレンによる警告にあっては、ダム放流により当該地点における森下川の水位の上昇が開始されると認められる時の約15分前から約4分間

(3) 警報車の拡声機による警告にあっては、前項の区間に含まれる各地点について、ダム放流により当該地点における森下川の水位の上昇が開始されると認められる時の約15分前

(ダムの操作に関する記録の作成)

第14条 ダムの放流ゲートを操作した場合においては、次の各号に掲げる事項(その開閉がダム放流を伴わなかったときは、第1号及び第2号に掲げる事項)を記録しておかなければならない。

(1) 操作の理由

(2) 放流ゲートの1回の開閉を始めた時刻及びこれを終えた時刻並びにこれを終えた時におけるその開度

(3) 放流ゲートの1回の開閉を始めた時及びこれを終えた時における貯水位、流入量及びダム放流に係る放流量

(4) 法第48条の規定による通知及び令第31条の規定による警告の実施状況

(観測及び測定等)

第15条 法第45条の規定による観測は、別表第3に定めるところにより行うものとする。

2 法第45条の規定により観測すべき事項のほか、別表第4に掲げる事項については、同表に定めるところにより測定をしなければならない。

3 次条第2項の規定に該当するときその他ダム又は貯水池について異常かつ重大な状態が発生していると疑われる事情があるときは、速やかに別表第4に掲げる事項のうちダムの状況に関するものの測定をしなければならない。

4 法第45条及び前2項の規定による観測及び測定の結果は、記録しておかなければならない。

(点検及び整備等)

第16条 ダム及び貯水池並びにこれらの管理上必要な機械、器具及び資材は、定期に及び時宜によりその点検及び整備を行うことにより、常時良好な状態に維持しなければならない。

2 洪水又は暴風雨、地震その他これらに類する異常な現象でその影響がダム又は貯水池に及ぶものが発生したときは、その発生後速やかに、ダム及び貯水池の点検(貯水池付近の土地の形状の変化の観測及びダムに係る地山からにじみ出る水の量と貯水位との関係の検討を含む。)を行い、ダム又は貯水池に関する異常な状態が早期に発見されるようにしなければならない。

(異常かつ重大な状態に関する報告)

第17条 ダム又は貯水池に関する異常かつ重大な状態が発見されたときは、直ちに応急の措置をとるとともに、石川県知事にその旨を報告しなければならない。

第3章 洪水における措置に関する特則

(洪水警戒体制)

第18条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、洪水警戒体制をとらなければならない。

(1) 金沢地方気象台から降雨に関する警報が発せられたとき。

(2) その他洪水の発生が予想されるとき。

(洪水警戒体制時における措置)

第19条 前条の規定により洪水警戒体制をとったときは、直ちに次の各号に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 洪水時において、ダム及び貯水池を適切に管理することができる要員を確保すること。

(2) 次のからまでに掲げるものの点検及び整備を行うこと。

 法第45条に規定する観測施設

 法第46条第2項に規定する通報施設

 令第31条の規定により警告するためのサイレン及び警報車

 夜間に屋外で洪水時における作業を行うため必要な照明設備及び携帯用の電灯

 その他洪水時におけるダム及び貯水池の管理のため必要な機械、器具及び資材

(3) 気象官署が行う気象の観測の成果を的確かつ迅速に収集すること。

(4) 石川県知事に対し、別表第1に定めるところにより法第46条第1項の規定による通報を行うこと。

(5) 河川法施行規則(昭和40年建設省令第7号)第27条の規定により、ダムの操作に関する記録を作成すること。

(6) 最大流入量その他流入量の時間的変化を予測すること。

(7) 法第49条の規定による記録の作成をすること。

(8) その他ダム及び貯水池の管理上必要な措置

(洪水調節)

第20条 洪水調節は、無操作の自然放流方式により行うものとする。

(洪水の調節後の貯水位の低下)

第21条 前条に規定する洪水調節を行った後は、無操作の自然放流方式により、水位を常時満水位に低下させるものとする。

第4章 雑則

第22条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この訓令は、平成13年4月1日から施行する。

(平成17年3月31日訓令甲第1号、行政組織の見直しに伴う関係訓令の整理に関する規程第15条による改正)

この訓令は、平成17年4月1日から施行する。

(平成19年3月30日訓令甲第1号、行政組織の見直しに伴う関係訓令の整理に関する規程第4条による改正)

この訓令は、平成19年4月1日から施行する。

(平成24年3月31日訓令甲第1号、行政組織の見直しに伴う関係訓令の整理に関する規程第2条による改正)

この訓令は、平成24年4月1日から施行する。

(平成29年3月31日訓令甲第2号、行政組織の見直しに伴う関係訓令の整理に関する規程第3条による改正)

この訓令は、平成29年4月1日から施行する。

別表第1(第12条、第19条関係)

(平16訓令甲8・平17訓令甲1・平19訓令甲1・平24訓令甲1・平29訓令甲2・一部改正)

通知の相手方

通知の方法

名称

担当機関の名称

石川県知事

県央農林総合事務所

加入電話による

県央土木総合事務所

加入電話による

金沢市長

農林水産局農業基盤整備課

加入電話による

土木局内水整備課

加入電話による

石川県金沢中警察署長

地域課

加入電話による

二俣駐在所

加入電話による

別表第2(第13条関係)

警報局の名称

警報局の位置

サイレンの構造又は能力

摘要

第1警報局

金沢市二俣町地内

(医王ダム地点)

2本ラッパ式

モーターサイレン 2.2kw

 

第2警報局

金沢市二俣町地内

(ダム下流約1.7km)

2本ラッパ式

モーターサイレン 2.2kw

 

第2警報局

延長局

金沢市二俣町地内

(ダム下流約2.3km)

2本ラッパ式

モーターサイレン 0.75kw

 

別表第3(第15条関係)

観測すべき事項

観測施設

観測の回数

摘要

名称

位置

構造又は能力

気温

ダム気温観測所

医王ダム

有線遠隔自記温度計

毎日1回

洪水警戒時は、必要に応じて観測する。

 

雨量

ダム雨量観測所

医王ダム

有線遠隔自記雨量計

積雪の深さ

ダム積雪観測所

医王ダム

積雪深計測標尺

12月から翌年の4月までの期間において月1回以上

洪水警戒時は、必要に応じて観測する。

 

貯水位及び流入量

ダム貯水位観測所

医王ダム

有線遠隔自記水位計

毎日1回

洪水警戒時は、必要に応じて観測する。

流入量は、第6条の規定により算定する。

下流水位及び放流量

二俣水位観測所

二俣町地内森下川

有線遠隔自記水位計

毎日1回

洪水警戒時は、必要に応じて観測する。

放流量は、水位観測結果に基づき算出する。

取水量

ダム取水量観測所

医王ダム

自記流量計

ゲート操作のつど

 

別表第4(第15条関係)

測定すべき事項

測定の回数

摘要

ダム本体

漏水量

1回/週

漏水量計により行うほか、必要があるときは、濁度測定を行う。

変形

毎四半期1回

変形の測定は、ダム天端及びのり面に設置されている計測点により行う。ただし、積雪その他の原因により、計測点に行くことが困難なときは、この限りでない。

間げき水圧

1回/月

間げき水圧計により行う。

沈下量

毎四半期1回

層別沈下計により行う。

揚圧力

1回/月

監査廊に設置されている揚圧力計により行う。

地震

地震時

監査廊底部及びダム天端に設置されている震度計により行う。

貯水池のたい砂状況

たい砂測定

通常

1回/年

実測調査を行う。

洪水直後

必要時

同一断面で行う。

別図(第6条関係)

(平30訓令甲3・全改)

画像

貯水位

EL.m

貯水量

m3

120.00

0

125.00

11,650

130.00

70,000

135.00

197,050

140.00

411,200

145.00

724,950

150.00

1,148,900

155.00

1,710,550

158.50

2,227,000

160.00

2,442,050

165.00

3,375,900

医王ダム管理規程

平成13年3月30日 訓令甲第2号

(平成30年3月30日施行)

体系情報
第9類 産業・経済/第5章 農林業
沿革情報
平成13年3月30日 訓令甲第2号
平成16年6月23日 訓令甲第8号
平成17年3月31日 訓令甲第1号
平成19年3月30日 訓令甲第1号
平成20年8月1日 訓令甲第6号
平成24年3月31日 訓令甲第1号
平成29年3月31日 訓令甲第2号
平成30年3月30日 訓令甲第3号