○金沢市自然環境保全条例
平成5年3月24日
条例第1号
(目的)
第1条 この条例は、本市におけるかけがえのない自然環境を適正に保全し、子孫に継承することにより、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(用語の意義)
第2条 この条例において「自然環境」とは、日光、大気、水、大地及びこれらにはぐくまれた動植物を総合的にとらえたもので、人間の生存の基盤となる環境をいう。
(市の責務)
第3条 市は、自然環境を適正に保全するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。
2 市は、広報活動その他の活動を通じ、自然環境の保全の必要性について市民の理解を深めるとともに、その意識の高揚に努めなければならない。
3 市は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たっては、自然環境の適正な保全に努めなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動の実施に当たっては、自然環境が適正に保全されるよう必要な措置を講ずるとともに、この条例の目的を達成するために行われる市の施策に協力しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、自然環境が適正に保全されるよう自ら努めるとともに、この条例の目的を達成するために行われる市の施策に協力しなければならない。
(金沢市自然環境保全審議会)
第6条 自然環境の保全に関する重要事項を調査審議するため、金沢市自然環境保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第7条 審議会は、委員12人以内で組織する。
2 委員は、識見を有する者、関係行政機関の職員及び本市の職員のうちから市長が委嘱し、又は任命する。
第8条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
第9条 審議会に会長を置き、委員の互選によってこれを選任する。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめ会長が指名する委員が、その職務を代理する。
(金沢市自然環境保全区域の指定)
第10条 市長は、次の各号のいずれかに該当する区域のうち、自然的社会的諸条件からみて、その区域における自然環境を保全することが特に必要な区域を金沢市自然環境保全区域(以下「保全区域」という。)として指定することができる。
(1) 本市の自然の特徴をよく表している海岸、河川、河岸段丘又は湖沼の区域
(2) 天然林が比較的よく保たれている土地の区域
(3) 天然林が伐採された後に生育する2次的な森林の区域のうち、動植物相が豊かな土地の区域
(4) 地形若しくは地質が特異であり、又は特異な自然の現象が生じている土地の区域
(5) 貴重な動物が生息し、又は貴重な植物が生育している区域
2 次に掲げる区域は、保全区域の区域に含まれないものとする。
(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園の区域
(2) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第14条第1項に規定する原生自然環境保全地域及び同法第22条第1項に規定する自然環境保全地域の区域
(3) ふるさと石川の環境を守り育てる条例(平成16年石川県条例第16号)第118条第1項に規定する石川県自然環境保全地域の区域
3 市長は、保全区域を指定しようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。この場合において、第14条第1項に規定する保全計画の案についても、併せて、その意見を聴かなければならない。
(平16条例44・一部改正)
第11条 市長は、保全区域を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
3 市長は、前項の規定により意見書が提出されたときは、審議会の意見を聴くことができる。
第12条 市長は、保全区域を指定するときは、その旨並びに保全区域の名称及び区域を告示しなければならない。
2 保全区域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
(保全計画の決定等)
第14条 市長は、保全区域における自然環境の保全のための計画(以下「保全計画」という。)を決定しなければならない。
2 保全計画には、次に掲げる事項のうち、必要な事項を定めるものとする。
(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該保全区域における自然環境の保全に関する基本的事項
(2) 当該保全区域における自然環境の保全のための規制に関する事項
(3) 当該保全区域における自然環境の保全のための施設に関する事項
3 市長は、保全計画を決定したときは、その概要を告示しなければならない。
(保全区域内における行為の届出)
第15条 保全区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手しようとする日の30日前までに、市長にその旨を届け出なければならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。
(3) 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。
(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(5) 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
(6) 木竹を伐採すること。
2 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、保全区域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがない行為で規則で定めるものについては、前項の規定は適用しない。
3 通常の維持管理行為及び軽易な行為のうち、保全区域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがない行為で規則で定めるもの並びに保全区域内において非常災害時の応急措置として行う行為については、第1項の規定は適用しない。
(保全区域内における行為に対する助言、指導又は勧告)
第16条 市長は、前条第1項の届出があった場合において、当該届出に係る行為が当該保全区域における自然環境の保全に重大な影響を与えると認めるときは、当該届出をした者に対し、助言若しくは指導をし、又は必要な措置をとるべき旨の勧告をしなければならない。
(保全区域の指定等に伴う経過措置)
第18条 第12条第2項(第13条において準用する場合を含む。)の規定により保全区域の指定又はその区域の変更(拡張の場合に限る。)の効力が生じた日に当該保全区域内において第15条の規定により届出を要する行為に現に着手している者又はそれらの効力が生じた日から30日を経過しない間に当該保全区域内において当該行為に着手しようとする者については、同条第1項中「当該行為に着手しようとする日の30日前までに」とあるのは、「第12条第2項(第13条において準用する場合を含む。)の規定により保全区域の指定又はその区域の変更(拡張の場合に限る。)の効力が生じた日以後において速やかに」と読み替えて、第15条第1項の規定を適用する。
(保全区域以外の区域における行為に対する助言、指導又は勧告)
第19条 市長は、保全区域以外の区域において、本市の自然環境の保全に重大な影響を与えると認める行為を行う者に対し、助言若しくは指導をし、又は必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
(協定の締結等)
第20条 一定の区域内に存する土地の所有者又はこれを使用することができる権利を有する者は、その相互において当該区域の自然環境の保全又は回復に関する協定を締結することができる。
2 市長は、前項の協定でその内容が自然環境の保全又は回復に寄与すると認められるものを自然環境保全協定として認定することができる。
3 市長は、本市の自然環境の保全又は回復のために必要があると認めるときは、土地の所有者又はこれを使用することができる権利を有する者と自然環境の保全又は回復に関する協定を締結することができる。
(援助)
第21条 市長は、自然環境の保全又は回復のために必要があると認めるときは、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、補助金の交付等の財政的な援助をすることができる。
(土地の買取り)
第22条 市長は、保全区域を指定した場合において、必要があると認めるときは、予算の範囲内において、当該保全区域内に存する土地の所有者からその土地を買い取ることができる。
(実地調査)
第23条 市長は、保全区域の指定若しくはその区域の変更、保全計画の決定若しくは変更又は第20条第3項に規定する協定の履行の確認のために必要があると認めるときは、その職員に、他人の土地に立ち入り、実地調査をさせることができる。
2 前項の規定により実地調査をする職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成5年4月1日から施行する。
附則(平成16年6月23日条例第44号、金沢市自然環境保全条例等の一部を改正する条例第1条による改正抄)
この条例は、公布の日から施行する。