令和４年度 金沢市立病院 病院指標

呼吸器内科では、睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害に対して、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)、反復睡眠潜時検査(MSLT)などの診断を行っています。
診断により、持続陽圧呼吸(CPAP)導入や、合併の多い心血管系疾患精査のための短期入院を実施しています。
肺がんに対して、診断のための気管支内視鏡検査や、化学療法薬、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬等を使った内科的治療のための入院を行っています。
間質性肺炎に対しては、気管支内視鏡などの検査を行い、診断や治療のための入院を行っています。
他に、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、呼吸器感染症、慢性呼吸不全などに対する検査、診断や治療を行っています。

消化器内科の最も多い症例は、腸閉塞です。癒着性や糞便性に腸閉塞を来たした疾患で、改善が乏しいときはイレウス管を留置し加療を行います。
次ぐ症例として、アルコール性肝障害の症例が挙げられます。アルコール性肝線維症から肝硬変による黄疸や腹水を認めたときに、入院加療を行っています。
その他、内視鏡的胆道ステント留置術が挙げられます。総胆管結石や胆管腫瘍による胆道狭窄や閉塞性黄疸などに対する治療です。
また、結腸憩室炎に対しての加療も行っています。

循環器内科では、虚血性心疾患と心不全の患者数が多くを占めています。また、ご高齢の症例が増加しています。
心不全になると重症となり、在院日数が長くなっています。

腎臓・リウマチ科では、高齢者の尿路感染症、肺炎が多くを占めています。
当科では、高血圧症、糖尿病性腎症・慢性腎臓病など腎疾患全般、膠原病の患者さんの診療を行っています。慢性腎臓病の患者さんには、4日間の慢性腎臓病検査教育入院を行っています。
慢性腎臓病は、脳心血管疾患を合併することが多く、血管合併症の検査を行います。また、将来の腎機能が低下する速度を抑えるための腎臓食を実際に食べていただき、覚えてもらいます。
管理栄養士から栄養指導を受けていただき、退院後の食事療法についても、外来で繰り返し栄養指導を継続しています。
慢性腎臓病は、かかりつけ医と腎臓専門医とが二人主治医制で、診療を行うことで、治療効果の向上が期待されます。
将来、透析治療が必要になる可能性があると言われた患者さんは、一度、かかりつけ医と相談の上、当院の腎臓専門外来へ受診して頂きたいと思います。
腎臓・リウマチ科では、末期腎不全にて血液透析中の患者さんに合併する透析シャントトラブルに対して、当院放射線科と共同でシャント血栓除去術を行っています。
この治療は、基本的に外来で行っています。また、排尿障害を伴う慢性腎臓病については、当院泌尿器科と共同で診療を行っています。

内分泌・糖尿病内科の入院のうち一番多くを占めるのは２型糖尿病です。外来での治療にも関わらず血糖コントロールが不良な方、合併症が進行している方などが対象となります。薬物療法、食事療法とともに自己管理の指導も行います。通常1～2週間程度の入院を予定します。
内分泌・糖尿病内科の入院で手術予定の方はほとんどいませんが、糖尿病血管合併症としての虚血性心疾患、網膜症などで手術療法を行うこともあります。

血液内科では、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫に対する治療目的の入院が多くなっています。

外科では、上記疾患に関わらず、様々な疾患に対し診療を行っています。
当院は、急性期疾患を扱う地域中核病院であり、虫垂炎や胆嚢炎、および腸閉塞などの急性腹症疾患が入院の多くを占めています。
最近では、重症の急性虫垂炎に対する治療方針として、術後の合併症軽減のために、保存的治療が奏功した後で待機的に手術を行う場合があります。

高齢者が増加し、骨粗鬆症の方が増えています。
このため整形外科では、骨粗鬆症に伴う骨折の患者が入院の多数を占めています。
その中でも胸腰椎圧迫骨折と大腿骨近位部骨折の割合が高くなっています。
当院では、自院にて入院治療が完結するように心がけています。

脳神経外科では、脳卒中や頭部外傷を中心に救急患者の受け入れを行っています。
脳梗塞についても、血栓溶解療法に加えて、経皮的血栓回収術を行っております。

泌尿器科では、精索静脈瘤に対する手術が最も多くなっています。
前立腺癌の疑いのある症例に対して前立腺生検を行い、確定診断を多く行っています。
膀胱癌に対する経尿道的手術による入院も多くなっています。

産婦人科では、子宮頸がんの前がん病変に対して子宮頸部円錐切除術を行います。正確な診断と病変切除を目的とした手術であり、入院翌日に退院可能です。
子宮の良性腫瘍に対しては、子宮全摘術が適応となる場合が多いです。子宮筋腫や子宮腺筋症などが対象となりますが、治療方針は状況に応じて相談させていただきます。
卵巣や子宮の悪性腫瘍術後の化学療法には、カルボプラチン・パクリタキセルが主として用いられ、短期間の入院治療を必要な回数繰り返します。
卵巣の良性腫瘍に対しては、積極的に腹腔鏡手術を勧めています。卵巣子宮内膜症嚢胞、卵巣皮様嚢腫などが主な対象になりますが、状況に応じて開腹手術が必要となる場合もあります。
出産は多くの場合経腟分娩となりますが、帝王切開を必要とする何らかの理由が母児に生じた場合には、早急に手術準備を整えることが可能です。
子宮内にポリープを認めた場合には、全身麻酔下で子宮腔内を確認しながらポリープを摘出する、子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術を行います。

眼科の入院は、ほとんどが手術目的となります。最も多いのは白内障で、平均年齢は75歳を超えています。
白内障手術は、高齢の患者さんにも安全に施行でき、視機能の改善が望めます。
次に多い症例は斜視で、斜視手術は手術当日に入院し、全身麻酔下で施行、手術翌日に退院します。
斜視手術は他病院からの紹介で、当院で手術施行、術後の経過観察は紹介元の病院で行っています。

＊表にある患者数は、一般病棟のみの数であり、地域包括ケア病棟での患者数を含んでいません。
全病棟における白内障での入院は、のべ167件です。

耳鼻咽喉科の入院では、良性発作性頭位めまい症などのめまいの治療が多くなっています。
また、扁桃周囲膿瘍などの感染症の治療、重度の突発性難聴や顔面神経麻痺に対するステロイド治療なども行っています。
入院手術では、頭頸部の良性腫瘍の手術、扁桃周囲膿瘍切開が多くなっています。
副鼻腔炎や鼻腔形態の治療のための鼻の内視鏡手術も行っています。

消化器内科では、胆管狭窄に対しての内視鏡治療が多く、乳頭切開術18例、胆道ステント留置術が10例となります。
次いで、大腸ポリープや大腸腺腫に対する内視鏡的ポリープ切除術・粘膜切除術の症例が最も多くなっています。
ポリープ切除目的に1泊2日の入院が典型的な症例です。この手術は腫瘍の部位や大きさによって分類され、長径2㎝未満の症例は16例となります。
その他、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術も11例行っています。
また、非代償性肝硬変に合併した難治性腹水に対して、腹水濾過濃縮再静注法による加療を行っています。

循環器内科では、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対するカテーテルを用いた手術が多く行われています。
腕や足の血管から心臓まで、カテーテルと呼ばれる細い管を通して手術を行います。
洞不全症候群・完全房室ブロック・徐脈性心房細動などの徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術・交換術も多く行われています。

外科では、良性疾患、悪性疾患の両者に対して治療を行っています。
当院は、石川県地域がん診療連携推進病院であり、当科でも良性疾患だけでなく、胃癌や大腸癌、乳癌などの悪性疾患に対しても手術や術後化学療法を施行しています。
最近では、鼠経ヘルニアや虫垂炎、大腸癌に対して積極的に腹腔鏡下手術を選択し、患者様の負担の少ない手術を心がけています。

整形外科では、高齢者の骨粗鬆症に伴う骨折に対する手術が多数を占めています。
大腿骨近位部骨折に対する骨折観血的手術と人工骨頭挿入術が多く、次に橈骨遠位端骨折に対する骨折観血的手術が行われています。

脳神経外科では、慢性硬膜下血腫洗浄術が最も多くなっています。
頚部頸動脈狭窄については、頸動脈内膜剥離術、頸動脈ステント留置術のいずれの術式でも治療を行っています。
脳動脈瘤についても、開頭手術、脳血管内手術のいずれも可能で、症例によって術式を選択しています。

泌尿器科では、精索静脈瘤に対する手術が最も多くなっています。
前立腺肥大症に対しては、経尿道的手術あるいは尿道ステントを用いた治療を行っています。

産婦人科では、以下のような手術を行っています。
子宮頸部切除術：子宮頸がんの前がん病変に対しては、リープシステムを用いた子宮頸部円錐切除術を行います。正確な診断と病変切除を目的として近隣医院からの紹介患者さんを多く受け入れています。
子宮全摘術：子宮筋腫や子宮腺筋症などに対する子宮全摘術は、子宮が腫大している場合と過多月経・貧血などの自覚症状を伴う場合に開腹術で行います。
子宮筋腫核出術：出産希望のある子宮筋腫の場合には、筋腫核のみを開腹で摘出する子宮筋腫核出術を行います。
選択的帝王切開術：前回出産が帝王切開の場合や骨盤位(さかご)の場合などには、母児の安全を考慮して選択的帝王切開術を行います。
子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡)：卵巣の良性腫瘍に対しては積極的に腹腔鏡手術を全身麻酔下に行い、比較的早期に退院できる手術です。

眼科の入院は、ほとんどが手術目的です。最も多いのは白内障手術で、平均年齢は75歳を超えています。
白内障手術は、高齢の患者さんにも安全に施行でき、視機能の改善が望めます。

＊表にある患者数は、一般病棟のみの数であり、地域包括ケア病棟での患者数を含んでいません。
全病棟における白内障での入院は、のべ167人です。