○金沢市総合治水対策の推進に関する条例
平成21年3月24日
条例第5号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 総合治水対策の基本的な施策等(第7条―第13条)
第3章 開発事業における雨水排水計画の協議等(第14条―第17条)
第4章 雨水流出量の増加の抑制に対する支援等(第18条―第20条)
第5章 金沢市総合治水対策推進協議会(第21条―第23条)
第6章 雑則(第24条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における総合治水対策の推進について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、総合治水対策を推進するための基本となる事項等を定めることにより、浸水被害の発生及び拡大の防止を図り、もって安全で安心な都市環境の形成に資することを目的とする。
(1) 総合治水対策 河川及び下水道その他の排水施設(以下「河川等」という。)の整備のほか、地下に浸透しないで他の土地へ流出する雨水の量(以下「雨水流出量」という。)の増加の抑制、水防体制の強化その他の浸水被害の発生及び拡大の防止を図るための総合的な対策をいう。
(2) 雨水流出抑制施設 雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能を有する施設で、浸水被害の発生及び拡大の防止を目的とするものをいう。
(3) 河川管理者等 河川法(昭和39年法律第167号)第7条(同法第100条第1項において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者並びに下水道法(昭和33年法律第79号)第4条第1項に規定する公共下水道管理者、同法第25条の3第1項に規定する流域下水道管理者及び同法第27条第1項に規定する都市下水路管理者をいう。
(4) 内水 宅地等から流出し、又は排水される雨水等で、地下に浸透しないで当該宅地等から河川その他の公共の水域に流入するまでのものをいう。
(5) 開発事業 次に掲げる行為をいう。
ア 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する開発行為
イ 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)の建築(同条第13号に規定する建築をいう。)又は建築物の大規模の修繕(同条第14号に規定する大規模の修繕をいう。)
ウ 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備の設置又は変更(イに該当するものを除く。)
エ 駐車場(金沢市における駐車場の適正な配置に関する条例(平成18年条例第6号)第2条第1号に規定する駐車場をいう。以下同じ。)の新設又は既設の駐車場に係る土地の区画形質の変更(ア又はイに該当するものを除く。)
(令4条例20・一部改正)
(基本理念)
第3条 総合治水対策は、雨水の有効な利用、地下水のかん養等を図ることにより、本市の豊かな水資源及びその良好な循環が保全されるよう配慮しながら、自然と人とが共生する中で、市民が安全に、かつ、安心して暮らすことができるまちづくりを推進することを基本として行われなければならない。
2 総合治水対策は、市民の生命、身体及び財産を浸水被害から保護するためには、市、市民及び事業者の一体的な取組が重要であることにかんがみ、これらの者の相互の理解と連携のもとに、協働して行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、総合治水対策を推進するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、前項の規定により策定する施策に市民及び事業者の意見を十分に反映させるよう努めるとともに、その施策の実施に当たっては、市民及び事業者の理解と協力を得るよう努めなければならない。
3 市は、広報活動その他の活動を通じ、総合治水対策の必要性について、市民及び事業者の意識の高揚に努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、総合治水対策についての理解と関心を深め、地域における総合治水対策の推進に努めるとともに、本市が実施する総合治水対策に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、自らが地域社会の一員であることを認識し、市民と共に総合治水対策の推進に努めるとともに、本市が実施する総合治水対策に関する施策に協力しなければならない。
第2章 総合治水対策の基本的な施策等
(基本計画の策定)
第7条 市長は、総合治水対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、総合治水対策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 浸水被害の発生及び拡大を防ぐべき目標となる降雨
(2) 河川等の整備に関する事項
(3) 雨水流出抑制施設の整備の促進に関する事項
(4) 森林、農地等が有する保水又は遊水の機能(雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能をいう。以下同じ。)の保持に関する事項
(5) 水防体制、避難体制等の強化に関する事項
(6) 前各号に掲げるもののほか、総合治水対策を推進するために必要な事項
3 市長は、基本計画を定めようとするときは、金沢市総合治水対策推進協議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見が十分反映されるよう努めるものとする。
5 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(河川等の整備)
第8条 市長は、河川管理者等と連携し、浸水被害の発生及び拡大の防止を図るために必要な河川等の整備に努めなければならない。
(内水の管理の強化)
第9条 市長は、浸水被害の発生及び拡大の防止を図るため、水門の管理体制の強化、水門の改良その他の内水の管理を強化するために必要な施策を実施しなければならない。
(雨水流出抑制施設の設置等)
第10条 市長は、雨水流出量の増加の抑制を図るため、本市が設置し、又は管理する道路、公園、広場その他の公共施設における雨水流出抑制施設の設置に努めなければならない。
2 市長は、雨水流出量の増加の抑制を図るため、国、県その他公共団体(以下「国等」という。)が設置し、又は管理する道路、公園、広場その他の公共施設における雨水流出抑制施設の設置に関し、国等に協力を要請することができる。
3 本市の区域内に存する土地又は建築物の所有者(当該土地又は建築物を使用する権原を有する者を含む。)は、雨水流出量の増加の抑制を図るため、その所有し、又は使用する土地又は建築物の敷地における雨水流出抑制施設の設置に努めなければならない。
4 雨水流出抑制施設を設置し、又は管理する者は、当該雨水流出抑制施設の適正な維持管理に努めなければならない。
(森林、農地等の保全等)
第11条 市長は、雨水の地下への浸透について高い機能を有する森林、農地、緑地等の保全に努めなければならない。
2 本市の区域内に存する森林又は農地の所有者(当該森林又は農地を使用し、又は収益する権原を有する者を含む。)は、森林又は農地が有する保水又は遊水の機能を保持するため、その適正な整備及び保全に努めなければならない。
(緑化の推進等)
第12条 市長は、本市が設置し、又は管理する道路、河川、公園、広場その他の公共施設においては、緑化の推進、透水性舗装の実施等により雨水の地下への浸透の促進に努めなければならない。
2 市民及び事業者は、宅地、事業所等の敷地及び地域においては、緑化の推進等により雨水の地下への浸透の促進に努めなければならない。
(水防体制の強化等)
第13条 市長は、浸水被害の発生及び拡大の防止を図るため、水防体制、安全な避難体制等の強化に取り組むとともに、市民及び事業者の水防意識の高揚に努めなければならない。
2 市長は、降雨、河川の水位等の情報を迅速かつ的確に収集するとともに、市民及び事業者に対し、これらの情報を迅速に提供できる体制の構築に努めなければならない。
3 市民は、地域における自主防災組織が行う防災訓練等に積極的に参加するとともに、自助及び共助(地域の住民等が相互に連携及び協力をし、助け合うことをいう。)の意識を高め、安全な避難体制の強化に努めなければならない。
4 事業者は、その従業員の防災教育を推進するとともに、地域が行う防災活動の取組に協力するよう努めなければならない。
第3章 開発事業における雨水排水計画の協議等
(開発事業の雨水排水計画の協議)
第14条 本市の区域内において、その面積が1,000平方メートル以上の土地に係る開発事業を行おうとする者(以下「開発事業者」という。)は、あらかじめ、当該開発事業の実施に係る雨水を排水するための計画(以下「雨水排水計画」という。)を記載した書類(以下「計画書」という。)を市長に提出するとともに、当該雨水排水計画について、市長と協議しなければならない。当該雨水排水計画の内容を変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で市長が定めるもの
(2) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(助言、指導又は勧告)
第15条 市長は、前条第1項の規定による協議をした場合において、当該雨水排水計画の内容が市長が別に定める浸水被害の発生及び拡大の防止を図るための雨水の排水に係る技術上の基準に適合しないと認めるときは、当該開発事業者に対し、必要な措置を講ずるよう助言、指導又は勧告をしなければならない。
2 市長は、前条第1項の規定による協議をしない者又は虚偽の計画書による協議をした者に対し、期限を定め、必要な措置を講ずるよう指導又は勧告をすることができる。
3 市長は、前2項の規定による助言、指導又は勧告をする場合においては、金沢市総合治水対策推進協議会の意見を聴くことができる。
2 市長は、前項の規定により報告を受けた場合は、必要に応じて実地調査をするものとする。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表をされるべき者にその理由を通知し、かつ、意見を述べ、及び有利な証拠を提出する機会を与えるとともに、金沢市総合治水対策推進協議会の意見を聴かなければならない。
第4章 雨水流出量の増加の抑制に対する支援等
(国等との協議)
第18条 市長は、総合治水対策を推進するため、国等と緊密な連携協力を図りながら、総合治水対策の推進に係る相互の施策の調整その他必要な事項について協議するものとする。
(国等への要請)
第19条 市長は、必要があると認めるときは、国等その他関係団体に対し、総合治水対策の推進について協力を要請するものとする。
(援助)
第20条 市長は、雨水流出量の増加の抑制を図るため必要があると認めるときは、技術的な援助をし、又は予算の範囲内において、財政的な援助をすることができる。
第5章 金沢市総合治水対策推進協議会
(金沢市総合治水対策推進協議会)
第21条 総合治水対策を推進するため、金沢市総合治水対策推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。
(協議会の任務)
第22条 協議会は、この条例に規定する事項その他の総合治水対策に関する事項について市長の諮問に応ずるほか、総合治水対策に関し必要な事項について市長に意見を述べることができる。
(組織等)
第23条 協議会は、委員10人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 総合治水対策に関し識見を有する者
(2) 市民
(3) 事業者
(4) 関係行政機関の職員
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 協議会に、会長を置き、委員の互選によりこれを選任する。
5 会長は、会務を総理し、協議会を代表する。
6 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
第6章 雑則
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
1 この条例は、平成21年10月1日から施行する。
2 第3章の規定は、この条例の施行の日以後に行う開発事業について適用する。
附則(令和4年3月4日条例第20号)
1 この条例は、令和4年7月1日から施行する。
2 改正後の金沢市総合治水対策の推進に関する条例第2条の規定は、この条例の施行の日以後に行う再生可能エネルギー発電設備の設置又は変更について適用する。